※亜香里視点 NO NAME


「上田、ただいま」


「もう俺の自由時間は終わりかよ」


放課後、お兄とお姉とわたしは部活に参加するために学校に戻っていた。


でも、わたしはその前にやりたいことがあった。


上田にお礼を言わなくちゃいけない。


だから、学校を休んでいたにも関わらず、真っ先に教室にいる上田に突撃したんだけど。


「・・・ちょっと場所を変えても良いか?」


「いいよ。告白、楽しみ」


「・・・・・・」


否定しないんだ。うーん。わたしは限界だったんだけど、わたしの話をずっと聞いてくれていた上田も限界だったみたい。






ーーーーーー



屋上に来た。


午前中お兄とイチャイチャしてた場所だよ、って上田には言わない。


「先輩と付き合えたんだな」


「上田にはわかる?」


「一回鏡見てこいよ。あと、亜香里からの幸せオーラがやばい」


「上田、ありがとう。貴方がいなければ、わたしはもう立ち直れなくなっていたと思う」


「亜香里を助けたのは先輩だろ?俺は亜香里の話を聞いていただけだ」


「それでも、ありがとう。辛かった時、側にいてくれて、ありがとう」


「・・・・・・俺さ、バスケ一筋なんて言ってたけどさ、物凄く格好悪いことに、バスケ以外にも興味持つようになっちまってさ」


「・・・・・・」


「亜香里のこと、好きだわ。付き合ってくれとは言わないけど、好きだわ」












「ごめん、わたしは、上田のことを、呼ぶつもりは無い」




「・・・だよなぁ。わかったよ。ごめんな。好きにならないでって言われてたんだけどな」


「それはあかりが勝手にしたことだからいい。上田が負けた理由、教えてあげようか?」


「俺にも勝てる要素、あったか?」


あるよ。上田。


「上田は一度もあかりのことを怒ってくれなかった。否定しなかった。もし、ちゃんと亜香里を正してくれていたら、違ったかも」


「ははっ、なんだよそれ。俺がもう少し早く、自分に正直になってたら、ってことか?」


「亜香里は上田に魔法をかけていた。だから、上田がぐいぐい来れなくても仕方ない。上田は、全然悪くない。悪いのは、わたし」


「魔法?いや、あれは呪いだわ。くっそー、そっか、最初から亜香里の手のひらの上だったか」


「ごめん、上田。亜香里はこんな子なの。どんなことがあっても、最後にお兄にたどり着くように計算していたの。・・・怒っていいよ?」


「怒らない。むしろ、尊敬するわ」


「明日から、惚気話聞いてね」


「おう、今日から1人帰りとか最高だわ」


「4人で一緒に帰る?」


「それはぜってぇー嫌だ」


上田、本当にありがとう。一緒にバスケ、頑張ろうね。






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