みんな幸せ

勝利だギューちゃん

第1話

「あなたの願いはなあに?」


眼の前に魔法使いが、現れた。

私は何もしていない。


部屋でくつろういでいたら、勝手に現れた。

最初は、不審者と思い警察に連絡しようと思った。


でも・・・


いろいろと、魔法を魅せられた。

認めないわけにはいかない。


でも、私は興味がない。


「人違いでは?」

「間違いないわよ。住所、合ってるでしょ?」


確かに、住所はここだ。

間違いない。


でも、私は呼んでいない。


「ごめんね。スケジュールが詰まってて来るのが遅れた」

「どのくらい、遅れたの?」


私は魔法使いに尋ねる。


「30年かな。ごめんね。待たせて」

「私はまだ、生まれていない」

「魔法使いは、500年は生きるわよ」

「人間は、せいぜい100年」


絶対に、誰かと勘違いしている。


「ねえ、魔法使いさん」

「ナリーてよんでね」

「ナリーさん、一体誰に呼ばれたの?」

「自分で呼んでおいて、忘れたの?」


だから、まだ生まれていません。


「響正美さんなんだけど、あなてでしょ?」

「その人、お父さん」

「男の人だったの?意外」


正美は、男性にも女性にも、使えるからな・・・


「で、お父さんどうして知り合ったの?」

「30年前の今日、呼ばれたんだけど、今いっぱいだから、予約してもらった。その日が今日」

「その時に、男とわからなかったの?」

「うん。髪が長かったから」


確か、父が若いころは、男性の間で長髪が流行っていたらしい。

それに、父の声は中性的。


間違えても仕方ないわ。


「で、正美さんの娘さん。正美さんは?」

「居間で、テレビ見てる」

「ありがとう。行ってくる」


ナリーは、壁をすり抜けていった。


下が騒がしい。

でも、私には関係がない。


でも、父の願いって、何だろう?


「ただいま」

ナリーが、戻ってきた。


「どうしたの?」

「俺の願いは叶ったから、娘の願いを叶えてやれって」

「そう?」


でも、私は魔法に頼るのは嫌いだ。

しかし・・・


せっかくなので、願いを叶えてもらった。

ナリーは、つまらなそうな顔をしていたが、選り好みは良くないと思う。


その願いが叶い、今私は、とても幸せだ。

家族も友達も、みんな幸せだ。


そう・・・


みんな、幸せ。


世界中のみんな、幸せ。

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