咲いて香って
とうま
第1話 プロローグ【辛くても時間は進む】
別れた後って何も見えなくなるんだね……
『私達、永遠に幸せになろうね』
『当たり前だよ』
こんな会話を交わしたけど……
『私は彩乃もの♡』
『じゃあ私は…麻耶のかな♡』
結局は、甘い日々は唐突に散り……
『ごめん、冷めた……』
『え……まぁ、仕方ないよね……私より幸せになれる相手を見つけたって事?』
聞きたくないことを訊いては
『うん……本当にごめん……』
『私と永遠に幸せになるって言ったのに……』
『ごめん……』
「うぅっ……どうして……」
鳴嘔を上げて砕け散る
現実は無慈悲だ……残酷だ……
あのバラのように紅くて桜のように甘い、天国のような日々をこうも呆気なく、散らせてしまうのだから……
今でも、幸せな日々と、別れた瞬間の事を何度も交互に思い出しては、繰り返し、萎れていく。
彩乃は、もう他の人に今まで私にしか見せなかった、顔を見せてるのかな……
考えるだけで押し潰されそうだ。
もうせめて別れたのなら忘れてしまいたい……
じゃないとどうしたらいいのか分からなくなるから……
忘れた所で……今まであの子と幸せになる為に嫌な勉強とか頑張って来たんだもんな……頑張れて来たんだもんな……
辛いよ……もう何も見えないよ……
「うぅ……もぅいやっ!もう嫌だよっ!」
部屋に吹くのは無機質な暖房音……
それを紛らわせる為にイヤホン越しに音楽を耳に当てて見るけど、辛さ、重苦しさ、寂寥感は特に変わらなかった。
私はもう、夢であってと強く願い、今は寝る事にした。土曜日の午後2時35分。
「夜……8時20分か……結構寝た……」
こんな中途半端な時間に寝て6時間くらい寝るなんて普段の私ならありえない……やっぱり疲れていたのかな……
そしてふと、流れ作業の様にLINEチェックするも、『ごめん…』
この文字を最後にチャットが終了してる。
「はぁ……うぅ……うっ……」
世界に色が無くなった。
今頃ではあるがもう、6時間前の2時に私達の花はもう、散ってしまっていたのだ。
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