瞳の奥の小さな光

NOTTI

第1話:幸せな生活

奈津実は3ヶ月前に結婚した。友隆は大手商社のやり手のトップセールスマンで、会社からの信頼は厚かった。しかし、彼は私よりも3歳年上だが同期の男子社員が今は一人しかいない。入社当初は4人いたが、2年目の頃から1人ずつヘッドハンティングや独立などで退社してしまい、最終的には彼1人になってしまった。一方の私も新入社員の頃から周囲になじめず、成績だけは常に上位にいた。しかし、今の会社に入ってから彼氏を失い、休みはほぼなしと言う生活を送っていたからだろうか、恋愛に対しても入社して彼氏を失って以降徐々に興味・関心が減退していた。それだけでなく、彼らにとってはお互いライバル部署の社員であることからこの交際がばれると一大事になりかねないとも思っていた。しかし、二人の結婚を良いと思ってくれていた職場の同僚や後輩が二人の幸せを祝福してくれたことでここまで頑張って来られたのだろう。


 2人の新居は一軒家で、かなり2人では広い間取りになっている。会社までの通勤時間は少し長くなってしまったが、広い庭と同じ敷地に畑も作れるほどの広さの土地を手に入れられたことで一気に幸福度が増していった。今はまだ子供がいないが、子供が生まれると広い庭でたくさん遊ばせることも出来るし、門も作ったため、外に飛び出すこともない。2人は3ヶ月後に迫った引っ越しの日を今かと待ちわびていた。


 しかし、2人には未だに知らされていない驚愕の事実がたくさんあった。しかし、2人はそのことに関してはまだ知らなかった。なぜなら、彼女が結婚しようと思ったときに両親に止められた過去があり、両親に新居の完成報告に行くか悩んでいる。もちろん、2人にとっては結婚できることが何よりも嬉しいことであったことは変わりないが、両親にとってはこの2人が結婚することが良いのか悪いのか心の中で葛藤を生んでいた。もちろん、両親はすでに成人しているため、結婚相手や結婚に対して干渉するつもりはないというが、内心不安になっていた。


 そして、新居が完成し、業者から引き渡しをしてもらうために新居に行った。すると、外装は出来上がっていたが、内装が出来上がっていなかった。契約した不動産屋さんに理由を聞くと「不動産会社と内装工事の会社がトラブルを起こし、内装と外構工事がストップしている」というのだ。つまり、2ヶ月前に見に行った際には進んでいた工事が今になっても進んでいなかったのだ。


 不動産会社が現在、代替の工事業者を探しているというが、新築工事が集中している時期であったため、未だに見つからないのだという。


 彼らにとっては一生の買い物であるマイホームが頓挫してしまうとは思わなかった。急いで、今のアパートを居住契約の期限延長を行い、事なきを得たが、危うく家を失うところだった。

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