第174話自信満々に胸を叩く

「そうだな、ではララ姫のご希望通りに今日は動物園へ行こうか」

「やったぁーーっ!!」


そして旦那様はララのご希望通りに動物園へ行こうと告げるとララは飛び跳ね、身体全体で喜びをアピールする。


そんな可愛らしいララを眺めていると旦那様が耳元で「元から動物園へ行く予定だったのは内緒だぞ」と、急なララの希望通りの目的地へ決める事が出来たからくりを教えてくれるのだが、耳元で囁かれたわたくしはそれどころでは無く、旦那様の声音の持つ色気に腰が砕けそうになるのを必死に耐える事しかできなかった。


「好きな異性が耳元で囁かれるという破壊力はやばいですよね」


そんなわたくしを見て杏奈が旦那様とは反対側で囁いてくるのだが、旦那様の時と違い腰が砕けそうになるという事も無く、けれどもわたくしは今旦那様に恋をしているという事をイーオンの時以来意識していなかった(しないようにしていたとも言う)のだが、その感情を再確認すると共に自分でも顔が真っ赤になっていると分かるくらい顔が火照ってしまう。


故にわたくしはルルゥの言葉に、小刻みに頷く事しか出来なかった。


ただ、やられっぱなしも、今だわたくしの事を異性ではなく子供扱いされているのも癪であった為「もうっ」と旦那様の二の腕を弱々しくも叩く。


威力こそ物理的ダメージはゼロなのだが、その時の旦那様の『どうした?』と困惑している表情を見れただけで満足である。


もう少し乙女心を勉強して、その唐変木具合を少しでも解消してもらいたい限りだ。


それまで困惑し続ければ良いのですわ。



軽めの朝食(ごはん、お味噌汁、焼き鮭)を平らげた後、皆で『大型バス』という車へと乗り込むと、唸りを上げながら大型バスは目的地へと相変わらず物凄いスピードで走っていく。


「因みに動物園というものはどのようなものですの?」

「様々な動物を見る事ができる施設ですよっ!!」


そして本日の目的地である動物園という場所をララに聞いてみると、文字通り様々な動物が見る事の出来る施設のようである。


「あら?奥方様はあまり乗り気ではないのですか?」

「珍しい動物等はお父様が遠方から訪れた外国の貴族の方々から献上されておりますし、皆雄々しく隷属の魔法をしていなければとてもではないのですが死人が出てもおかしくない動物ばかりでしたので、魔法が無いというこの世界では果たして大丈夫なのだろうか、と」

「なるほどなるほど。そこは安心しても大丈夫ですから大船に乗ったつもりでいて大丈夫ですよっ!」


そしてララの説明を聞き若干の不安を覚え、その事をしおりんに聞かれたので素直に答えると安奈が大丈夫だと自信満々に胸を叩く。


しかし何故だろう?杏奈が自信満々だと少しばかり不安になるのは。

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