第167話逃げ場のない檻の中
そして私たちは『あにそん』という曲を、わたくしが覚えやすいだろうとわざわざ『すまーとふぉん』という
「さて、目的地に到着しましたよーっ!」
そんなこんなで小一時間と少し程車を走らせたところで車はとある海沿いの施設に止まるとしおりんが目的地に到着した事を告げてくれる。
どうやら目的地に着いたようなのだが、今までの経験から想像していた、想像もできない建物やアーティファクトがあるのではと少なからず想像していたのだが、今わたくし達の前にある建物は気泡一つ無いガラス等こそ見受けられるもののそれら以外は王国でも普通にありそうな建物であった。
むしろ道中も後半は自然豊かな山道が多く、今まで見て来た日本というよりかは王国内を車で走って来たと言われてもきれいに整備された道路さえ目を瞑れば思わず信じてしまいそうな程である
「さぁ今日は一日頑張るわよっ!ついでにここでお昼ご飯も済ませちゃいましょうっ!!」
「沙織、あんた釣り堀って……自分の趣味全開じゃないのよ」
「しっ、失礼なっ!!ちゃんと奥方様の事もしっかりと考えた結果です。勿論せっかくのオフですから私の趣味も考慮していないと言えば嘘ですが」
「私の事も考えようという気持ちが微塵も伝わってこないのだけれど?」
「あら、杏奈の事を考える必要はありまして?」
「ぐぬぬぬぬぬっ!!沙織に任せた時点でこうなる事を、奥方様が楽しめる場所という事から全くもって考えなかったあの時の私が憎いっ!!」
そして安奈とさおりんの二人は車から出るや否や口論を始めるのだが、その会話から察するにどうやらこの場所は釣り堀と言ってお魚さんを釣る事ができる場所の様だ。
わたくしがお魚さんを釣る。
その事を想像すると安奈には悪いのだけれども少しだけワクワクしてきてしまう。
「ほら、あの奥方様のあの表情みてもまだ文句があるのかしら?」
「ぐぬぬぬっ………きょ、今日だけだからねっ!!」
そしてどうやら杏奈も折れたようでわたくし達は釣り堀の施設へと入って行くと、しおりんの慣れた手つきで手続きを済ませて釣り竿・えさ・バケツ・はりはずし等を手渡される。
「ここはサーモン、いわゆる養殖されたマス科の魚等が釣れ、釣れた魚はここの施設で調理して食べる事ができます。ですので手始めに今日のお昼ご飯を釣っちゃいましょうっ!!そして奥方様にはこのしおりんが手取り足取り懇切丁寧にねっとりと教えてあげますので大船に乗ったつもりでいてくださいっ!!」
「大船って……頭のおかしい性犯罪者が乗った船とか逃げ場のない檻の中じゃない」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます