第166話王国に対する信用

そしてわたくしは思う。


この紙一枚の信用度が国の信用度の証でもあるのだろうと。


今のわたくしにとっては、王国に対する信用なんかとうの昔に失ってしまっているのだから、なんだかその事が無性におかしく思えて来る。


今わたくしが信用しているのは旦那様とその使用人、次いで日本国である。


だからこそわたくしはこの紙のお金を大切に、巾着型の財布へとしまうのであった。





そしてわたくし達は馬無し馬車(車と言う乗り物らしく、大きさや用途で呼び方が変わるようなのだが、今わたくしが乗っているのはそのまま車で良いそうだ)の中で朝食を済ませて最初の目的地へと向かう。


コンビニエンスストアという店で購入したおにぎりは以前食べたおにぎりとは違い黒い紙の様な食材、海苔が乾燥しており、おにぎりを食べる度にパリパリと小気味良い音と食感を感じる事が出来た。


ちになみにおにぎりの封の開け方が分からずに杏奈に教えてもらいながら開封した。


そしてわたくしの好物ランキング上位におにぎりがその席を譲れとばかりに今現在脳内にて好物ランキングを再度決め直しているところである。


そして驚いたのが紅茶の美味しさだ。


一体どこの茶葉なのか、お茶会を開くような時が万が一あるのならば是非とも取り寄せたいと思ってしまうほどには美味しいと思える紅茶であった。


そんな事を思いながら車は驚くほどきれいに整備された道路の上を、聞きなれない音楽を奏でながらしおりんの操縦で走っている。


来たばかりの頃であったのならばこの音楽は一体どこから流れているのか、演奏者や歌手はどこにいるのかと疑問で一杯であった事だろう。


しかしながらわたくしも日本へ来て数日間の間でここ日本でのアーティファクト人工物の技術の高さを嫌と言う程体験済みである為、この程度どこからともなく音楽が流れるの事であれば驚かなくなってしまっている。


「聞いたことも無い曲ばかりですし、言葉の意味も理解できないのですけれども、それでも聞こえてくるメロディーは良い物ですわね。思わず口ずさんでしまいそうな曲ばかりですわ」

「あら、でしたらこのアルバムをお貸しいたしますのでその内皆でカラオケでも行きましょう、奥方様っ

!!」

「か、からおけ?ですの?」

「それはっ、詩織にしては良い考えねっ!!カラオケは簡単に言うと覚えた歌を歌える場所ですよーっ!!あぁ、今から奥方様とカラオケに行くのが楽しみですっ!!それに歌詞を翻訳するのは日本語の勉強にも良いですしねっ!!」

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