第86話そーすかつどぅーん


そして俺は、一緒について来てくれているアイリスへ疲れてないか聞いてみるが、アイリスは疲れた顔一つ見せずに可愛らしい笑顔と声音で大丈夫だと返してくれる。


それが強がりである事くらい流石俺も分かる為より一層俺はアイリスに惚れていく。


これがシャーリーであったのならば五分もしないうちに愚痴を言いながら俺の事を責め立てるに違いない。


その光景が鮮明に想像できてしまうあたり間違いないであろう。


それと同時に俺の、シャーリーとの婚約を破棄した行為は間違いでない事が伺えて来ると同時に、そう思えばそう思う程無能な老害でありわが父でもある国王への苛立ちが募って行く。


そもそも自分自身が無能であるという事に気付かずこの俺に向かって無能であると決めつけ、今この様な待遇にしている事自体がどうしようもなく腹立たしい。


「どうしたの殿下?」

「いや、ただ俺の父上だけは絶対に許さないと心に誓ったまでだ」


そして俺とアイリスはシャーリーのいるであろうタリム領へ向かって歩き出そうとしたその時、茂みの中から六名程の賊が現れ、俺達二人を囲み始め────


「『炎の壁』」


────ようとしたその時、アイリスが炎魔術を使い賊を軽く追い払う。


流石平民であるのに王都の学園に入学できるだけの魔術技術であるな、と感心する。


「クソが、何で私が守られる側じゃなくて守る側なんですかね」

「アイリス?」

「で、殿下ぁ~っ。私怖かったよぉ~っ!」


しかしながら技術があったとしても実践は今までなかったのだろう。


その恐怖心から俺に抱き付き怯えるアイリスの姿をみて俺がアイリスをこれから守って行かなくてはと心に誓うのであった。





わたくしの目の前には『どんぶり』という器に最近その美味しさにハマり始めたお米、その上に千切りにされた葉野菜が敷かれ、その敷かれた葉野菜の上に狐色に揚げられた『とんかつ』という肉をパンを粉上にしたものをまぶしてあげた物が四枚程鎮座しており、その『とんかつ』にまるでシチューのような茶色いソースがかけられている料理がわたくしの前におかれていた。


その食欲をそそる匂いたるや、最早凶器と言っても過言ではない。


「群馬名物のソースカツ丼だ。といってもソースカツ丼が名物の地域は意外と多いんだがな、そんな事等ソースカツ丼を目の前に出されれば些細な事だろう」

「こ、これが『そーすかつどぅーん』………あぁ、なんと食欲をそそる匂いに見た目なのでしょうか?」

「カツドゥーンじゃなくてカツ丼なんだが、外国のことばをネイティブに話せと言われても難しいのも分かるしな」


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かつどぅーんで二期はよって思った人は同士です(*'▽')

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