第84話少し残念でもある。
そしてわたくしは王国へ戻ったら真っ先にガラスを使った短杖製作から研究しようか、それとも魔法陣から研究しようかと『にほん』に来てまだ初日であるというのに王国へ帰った時の事を考えていると、気が付けば景色は変わり山を降り街に来たみたいである。
辺りを見ると小さな『まいくろばす』が馬もなく沢山走っており、王都よりも整備された街並みに、そして走っても走っても続く街並みにどこから驚いていいのか分からなくなる。
「こ、ここが『にほん』の王都なのですわね。それにしてもとんでもなく広いですし『まいくろばす』の多さからどれ程の貴族が居るんでしょう。これほどまでに馬の要らない馬車を買える程の財力を持っている貴族がいて、平民達はその日を暮らすだけの金銭は与えられているのでしょうか?」
「あれはマイクロバスではなくて乗用車だな。マイクロバスとは違う種類で、総じて車という乗り物だ。あと、車に乗っているもの達は皆平民であり貧富の差こそあれ皇族以外は皆平民の立ち位置だな。しかしここが面白い所で国を動かすのは平民が選んだ議員で代表者を一人選び、その者が国を動かすという仕組みになっている」
「貴族が、いない?ど、どういう事なのでしょうか?旦那様の言葉では平民が国を動かしている様に聞こえたのですけれども………?」
「そうだな、基本的に先進国と呼ばれている国は平民がリーダーとなり国を動かしてるな。昔は貴族もいたんだが今じゃ成れないわけではないらしいが探す方が難しい。そういう意味では公務員はある意味現代の貴族なのかも知れないな」
「な、何という事でしょう………。それでは王国の様な、王族と貴族で作る国運営は間違っているという事ですの?」
「一概にはそうとも言い切れないのが難しい所だな。トップが優秀なら即断即決で素早く動かす事ができるというのは民主主義には出来ない芸当だしな。それを考えるとラインハルト陛下はかなり切れ者かつ優秀だと言えるので今の王国は恵まれている。それに日本もつい百五十年と少し前までは二百五十年間もの間徳川将軍個人の独裁体制ではないものの徳川家という枠組において独裁政権を行っておりっと、こんな話はつまらないよな、すまない」
そしてこれから話が盛り上がってきそうな雰囲気になった所で旦那様は急に『この話はつまらないよ』と話の話題を強引に終わらしてしまうではないか。
シュバルツ殿下の元婚約者として、次期王妃としての政治学もそれなりに学んでいた身としては気になる所ではあるので少し残念でもある。
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