第72話無能な馬鹿に頭を下げる事等容易い
そうなれば益々シャーリーを今一度俺の婚約者にして公爵家の権力も是非とも引き入れたいと思う。
それに俺の弟が国王となるなど想像するだけで腸が煮えくり返り、怒りでどうにかなってしまいそうである。
そんな感じでどのように俺の地位を回復させるかを考え一日が経った。
どうせ一日で外に出られるだろうと考えていた俺は昼になっても出れる気配がなく焦り始める。
まさか、一生ここで飼い殺しにされるのか?そう思った時複数人の足音が聞こえ始め、そして扉が開く。
そこにはどの様にして殺してやろうかと考えていた内の一人である父上とその護衛達の姿があった。
「馬鹿息子よ、頭は冷えたか?自分がして来たモノの数々、それがいかに悪い事であるか理解はできたか?」
「はい父上。この俺が全て悪かったです」
そして父上は開口一番俺の身体を気遣うでもなく頭ごなしに説教を口にする。
その、まるで自分の考えこそ正しい、俺の考えは間違っているという様な態度に『無能なお前に言われたくない、無能の癖にこの俺様を説教してんじゃない、何様のつもりだ。そんなんだから父上は無能なのだ』と一気に怒りが込み上げてくるのだがグッと我慢する。
とにもかくにもこの地下室からでなければならないのだ。
ここで父上に喧嘩をして不況を買い、更に地下室生活が長引いてしまうなどという事があれば目も当てられない。
今は一日でも早く俺の地位を元に戻す事が先決であるのだ。
その為ならば無能な馬鹿に頭を下げる事等容易い。
この怒りは取っておいて後で倍にして返せば良いのだ。
「そうか、そうか。良くわかった。お前の気持ちはな。そして馬鹿につける薬は無かったという事も。実子可愛さ故に今まで大目に見てやって来たのだがその対応が今のお前であるとするのならば薬ではなくお灸の方が良いのやも知れぬな」
「父上………い、一体何をおしゃっているのですか?」
しかし、この俺がわざわざ謝っているというのに父上は許すという言葉も素振りも無く、むしろ父上の紡いでいく言葉を聞くにつれ嫌な予感と冷や汗が止まらなくなる。
「何を?そんな事も分からんのか?そもつい最近まで王位継承権を持ってたというのに自分の感情を隠す事すら出来ぬとは我が息子ながら情けない。目線に我に対する怒りと反省していないという反抗心、さらに見下しているという感情を宿しておいて『一体何を』とは片腹痛い。お主は今まで何を見て何を学び何処に志を置き過ごしてきたのか?何も学んでいないではないか」
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すみません、三千文字前後王子主観が続きます。
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