第44話ホットケーキ
そして、いきなり泣き始めるわたくしを見てリンダやルルゥ、そして周りにいる子供たちが心配そうに各々声をかけてくれるのだが、それがまた嬉しくて止まりかけた涙がまた流れ落ちてくる。
「誰だって最初はひっくり返すのを失敗するものよっ、なんならルルゥのを食べても良いからねっ!!」
「あ、ありがとうございます、リンダさん。 しかし、そうではなくて、その…………大変お恥ずかしいのですが、嬉しい時に出る涙をどうやって止めるか分からなくて………こんなに優しくされた事があまりなかったものでして」
「「お、奥方様………」」
そして一向に泣き止まないわたくしを見てひっくり返す事を失敗した為泣いているのだと勘違いをしたリンダが慰めてくれるのだが、流石に何で泣いているのか説明しないのは慰めてくれている方達に失礼だと思ったわたくしは素直に胸の内を打ち明ける事にする。
するとリンダやルルゥが何故か感極まった様な表情をした後涙ぐみながらわたくしに抱き付いて来て頭を撫でたり背中をさすって『もう大丈夫だからね』と優しく声をかけてくれるではないか。
少し前までであれば『シュバルツ殿下の婚約者というお立場の貴女が涙を見せるなど、それがいかなる理由、いかなる場所であろうとも許されよう筈がありませんっ!!』と叱責を受ける場面なのだが、それと正反対の、まるで泣く子供をあやすかのような対応に又もや涙腺が緩んでしまう。
それと同時にわたくしがこれ程泣き虫だという事に自分自身驚いてしまう。
「ささ、早く涙を早く拭いて、今作っている料理を食べましょうか。 泣いたときは甘い物に限ります」
「そうだねっ! 材料はまだまだあるんだから遠慮せず一杯食べなっ!!」
「そ、そうですわねっ!! 泣いたらなんだかお腹が減って来ましたわっ!!」
そしてわたくしは何とか気合いで涙を止め、明るく振る舞いもう大丈夫だと周囲にアピールすると、辺りにホッとした雰囲気が漂い始める。
「お姉ちゃん、もう大丈夫?」
「ええ、もう大丈夫ですわよ」
そんなわたくしを心配していた子供たちもわたくしが元気を取り戻したと知り、心配げな表情が一転、パッと笑顔に変わって行く。
そしてそうこうしている間に料理は焼きあがったらしく、皆ヘラを使い器用に自分のお皿へ移していく。
わたくしも焼きあがった物に竹串という細い串を刺して中まで火が通っている事を確認すると、皆と違い一人だけ不格好な、だけどわたくしが初めて作ったわたくしの料理をお皿の上へとヘラを使って慎重に入れて行く。
「みんな
「「「「はぁーいっ」」」」
「じゃあ『いただきます』をしたら、このトッピングを使って食べて良いからねっ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます