第89話 仕事
次の日、城にはたくさんの人が集まっていた。そこにはフェリクスが呼び掛けた人たちもいた。
「さて、知らせていたように、今日は仕事をしたい人たちに集まって貰った」
時間になったことによってダルクが集まった人達に話し始めた。
「知っている者もいるかも知れないが、この国、ディスガルド帝国は戦争をレオンハルト国に仕掛けて負けた。そして、今ここは、レオンハルト国の支配下だ。普通ならば、敗戦国の末路は悲惨だが、今回は違う。我がクレソン商会がここの統治権を代わりに貰った。勿論、一時的にだが。我が商会の目的は、ここで利益を上げることだ。しかし、安心してくれ。ちゃんとここの統治もするし、皆にも平等にお金が行き届くようにすると約束しよう」
ダルクの言葉にまだ集まった人たちは半信半疑の様で、周りを見渡している。
「ちゃんとした仕事をしたものも少ないと思うので、まずは、体力、精神力、技術力の3つの内、どれを使う仕事をしたいか、決めて貰おうと思う。皆、それぞれ選んでくれ」
ダルクが説明すると周りに居た職員が、体力、精神力、技術力の文字が書かれた札を上げた。それが見えた事によって、皆はそれぞれの札に散って行った。あれからさらにクレソン商会の職員がさらに観察して、それぞれ自分に合った仕事に割り振られる事になる。それをダルクの横で見届けたフェリクスは、城を後にした。
「最後まで見なくていいの?」
シルフはいつものように突然出てくるとフェリクスに質問した。
「後は、うちの職員に任せておけば、間違いないし、大丈夫だよ」
「それで私たちは何をするの?」
「ここで高く売れそうなものを探す」
「そんな者都合よく見つかるの?」
「それなら、昨日の内にあいつらに頼んだから、もうそろそろ、来るはずなんだけど」
フェリクスがそう言っている内に目の前にいつもの小人精霊たちが現れた。
『『『おいしいもの見つけて来たよ』』』
「ありがとう、お前たち」
「・・・都合のいいのが居たわね」
「そういう事」
フェリクスは小人精霊たちにお礼としてクッキーをあげていた。
「それで美味しいものって何処にあるの?お前たち」
シルフは気になって小人精霊たちに返事を催促した。
『あっちの畑』
『こっちの海』
『そっちの森』
小人精霊たちはそれぞれ別の方向を指した。
「何よ、それ全然、場所が分かんないじゃない」
「いや、これは驚きだな」
フェリクスには小人精霊たちの反応が意外な様だった。
「何が驚きなのよ、これじゃ、場所が分からなくて、どうしようもないじゃない」
「いや、そこはゆっくり見つけていくからいいんだ、それよりもこいつら3か所も場所を指すなんて、かなり珍しい事なんだよ、これは想像以上に稼げるかも知れないな」
どうやら、フェリクスが驚いたのは、小人精霊たちが指した場所の数だったらしい。
「場所はどうするのよ」
「今、こいつらが指した方向に真っ直ぐに進んでいけば、自ずと見つかるから安心していいよ」
「そんなので見つかるの?」
「今まで見つけて来ているから安心して」
「全然、不安だわ」
「それじゃ、最初は、海に行こうかな」
そうしてフェリクスは小人精霊の助言の元、海を目指すことにした。
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