第13話 2人のステータスと邪神の呪い
≪あー、全員に“邪神の呪い”があったかー≫
ステータスチェックを終え、みんなのステータスを伝え合うと明石さんがそんなことを書き込んでくる。
予想通り俺は2人のステータスウィンドウを見ることができなかったので、ステータスをノートに書き込むことで確認しあった。
結果、2人のステータスはこんな感じだった。
名前 本条 清香(ホンジョウ サヤカ)
種族 ヒト
性別 女性
年齢 15
体力 F
魔力 E
筋力 F
知力 E
肉体 E
精神 D
敏捷 E
器用 D
運 C
適性 呪術師
加護 邪神の呪い
名前 明石 灯里(アカシ アカリ)
種族 ヒト
性別 女性
年齢 16
体力 E
魔力 E
筋力 E
知力 E
肉体 E
精神 E
敏捷 E
器用 C
運 C
適性 死霊術師
加護 邪神の呪い
とりあえず、本条さんも明石さんも体力などのステータス値については特におかしな点はない。
おおよそみんなと同じ程度の値だ。
強いて言えば、明石さんの器用値がCと高いことだろうか。
で、気になるのはやはり適性と加護だ。
加護の“邪神の呪い”は全員についているのでひとまず置いておくとして、本条さんの適性が“呪術師”、明石さんの適性が“死霊術師”となっているのが問題だ。
俺の“影使い”も合わせて、イメージが悪すぎじゃないだろうか。
イメージ的に勇者側というよりも魔王側の適性な気がする。
まさか、適性が悪かったから邪神に呪われたのか?
いや、それだったら逆に呪いではなく加護が付きそうな気もするな。
≪でも、なんで本条さんだけ見えたり聞こえたりするんだろ?呪術師だから?≫
ノートに書かれたステータスについてぼんやりと考えていると、いつの間にかそんなことが書き足されていた。
“呪術師だから”
確かに本条さんにも“邪神の呪い”が付いていた以上、彼女だけ特別なのは他の要因によるものなのだろう。
で、その可能性として考えられるのは、やはり“呪術師”という適性だ。
≪呪術師だと呪いに耐性があるんだろうか?≫
気になったことを書き込んで反応を待つ。
ただ、耐性があるというのであれば他のクラスメイト達に認識されていないというのが気になるところだ。
≪わかんないけど、マンガとかだとそうじゃない?≫
「でも、私も明石さんと田中君のことが見えるくらいですよ?」
≪さすがに“邪神の呪い”相手だと、耐性が足りないとか?≫
推測交じりの言葉が続く。
ひとまずステータスについて知ることができたが、未だにわからないことだらけだ。
“邪神の呪い”が具体的にどんな影響を及ぼしているかすらはっきりとはわかっていない。
今の状況から、他の人から認識されなくなるということを推測しているだけで、他にも変な影響がないとは限らない。
≪呪術師による耐性が理由だとすると、呪いに対する耐性を持てば俺も2人が見えるようになるのかな?≫
「!?」
ただ、今書いたように呪いに対する耐性を持つことで2人を認識できるのであれば、それはこの状況を脱するための一歩になるかもしれない。
少なくともこの筆談から抜け出すだけで、今後の対策を検討するための話し合いが効率良くできるようになるだろうし。
≪じゃあ、呪いの耐性を持つのがとりあえずの目標になるのかな?≫
「そうですね。
筆談でどうにか相談できていますが、私しか2人を認識できていない状況は問題だと思いますし」
≪でも、どうやって?≫
「それはもう、頑張って調べるしかないんじゃないですか?
明日からは自由時間に書庫などを利用することもできるようになるみたいですし」
明石さんの疑問に本条さんがそんなことを返すが、その頑張って調べるが非常に難しい気がする。
一応、読み書きについては問題ないとのことだが、いきなり書庫に向かったところで効率良く調べ物ができるとは思えない。
こっちの人に頼ることができれば、司書さんみたいな人に相談することもできるのだろうけれど、それができないのだから。
2人も同じようなことを考えたのだろう、いやな沈黙があたりを包む。
≪とりあえず、部屋に行かない?≫
しばらく無言の時間が流れた後、明石さんがそう聞いてきた。
何となしに机を眺めていた視線を上げ、部屋の中を見回す。
がらんとした部屋の中には、当たり前だが俺たちの他に誰もいない。
いや、他の2人を見ることができないので、部屋の中で認識できるのは俺一人だけだ。
外の様子を知ることはできないが、おそらくもう結構な時間になっているだろう。
考えても答えが出ないことにあれこれ悩み続けるよりは、一度休息をとったほうがいいかもしれない。
本条さんも同じ考えだったのだろう。
「そうですね、今日のところは部屋に向かって休みましょう」
そう言って、明石さんの提案に乗ってきた。
なので、俺も反対することなく机の上のプレートを片付け、今夜の寝床となる部屋へ向かうこととなった。
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