邪神に呪われた俺は元の世界に帰ることができるのだろうか?
はぐれうさぎ
プロローグ
今、俺の目の前でクラスメイトである松井優樹菜が、クラスで最後のステータスチェックを終えようとしている。
“ステータスチェック”
なんともアレな言葉である。
数時間前の俺であれば、ゲームの話、あるいは妄想の世界へトリップしているのかと思ったことだろう。
だが、今では実在する言葉として扱われ、実際、既に他の24人のステータスチェックが終了している。
何の冗談だと言いたいところだが、あいにくと現実らしい。
“異世界召喚”
またしてもアレな言葉である。
だが、これが現在の状況を表す言葉であるらしい。
正直に言って、そういうのは物語の中だけにしてほしい。
いや、百歩譲って現実に巻き込まれるのだとしても、せめて俺を置いて状況を進行させるのはやめてほしい。
教師を含めて31人。
それが異世界召喚の儀式に巻き込まれたときにクラスにいた人数である。
だが、実際に召喚されたと認識されている人数は25人だ。
そして、俺が認識している人数は俺を含めて26人。
……どうやら周囲の人たちと俺とでは認識に違いがあるらしい。
いや、変にごまかすのはやめよう。
俺はこの場において周囲から認識されていない。
実際、俺はステータスチェックを行っている松井と密着するほど近くにいるが、彼女は俺のことをまったく気にしていない。
これは松井だけに限ったことではない。
他のクラスメイトや周囲にいるこの世界の住人であろう人たちも同じだった。
つまり、この広間――異世界召喚の儀式が行われたこの場にいるすべての人たちにとって、俺こと田中影太はいないことになっているらしい。
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