第06話 トイレと復讐者たちの密談
皆が寝静まり、館の明かりが消えた後。
数人の男たちが暗がりの中、人目を避けるように集まる。
「どうだった」
男の一人が問う。
「いや、奴本人に特に怪しい動きは無かった…」
もう一人の男が答える。
「そうか」
「しかし、悟られぬ様、隠蔽工作をしているだけかもしれん」
「そうかもしれんな…始末するか?」
「いや、それはまだ早い」
「なぜだ?奴は着々と準備をしているかもしれんのだぞ」
「証拠だ。証拠がいる」
「証拠だと?」
「貴族が我々を集団召喚する。これ以上の状況証拠がどこにあるというのだ」
「このままだと、我々が権力闘争や意味のない魔物討伐の捨て駒にされる未来しかないんだぞ」
「やはり、証拠はなくとも早めに手を打つか…」
男達が互いの決意を伺う。
「あんたら何してんの?」
突然の第三者の声に男達が振り返る。
「浮かれてんのは分かるけど、はよねーや。ふわぁ~」
ミズハラが目をこすりながら欠伸をしている姿があった。
「聞かれたか⁉」
「やるか?」
「いや、それは不味い。我々の立場が不利になる」
「だがしかし!」
「あんたら厨二病とか、復讐者ごっことかいい加減しぃーや。ええおっさんなんやろ?恥ずかしいで」
ミズハラは欠伸を噛み殺しながら言う。
「なん…だと⁉」
「お、俺たちは!」
「ええから。ええから。うちはもう行くわ。あんたらもはよ寝ぇーや。時間に遅れたら朝ごはん抜きやで」
そういってミズハラは尻を掻きながら廊下に立ち去る。
残された男たちは静まり返っていた。
暫くした後、男の一人が口を開く。
「とりあえず、暫く様子を見るか…」
「そうだな…」
「早く寝ないと飯が食えなくなるからな」
「あいつ、ケツ掻いていたぞ」
沈黙の後、男達は夜の暗がりに消えていった。
男達が解散した後、ミズハラはまだ廊下を彷徨っていた。
「おしっこしたい。トイレどこやろ…」
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