第十二章 サプライズ大作戦の結果と白い閃光と黒騎士

第一節:お迎えと師匠への土産

 そして一一:〇五を若干過ぎたころ、インターホンが鳴った。


 まだ二人は出て来ていない。


 ヒジリは覚悟を決めた「ハイ、五〇〇一」


「ギルド支部隊第二番隊隊長、ジーン・クレファレンス中佐であります。そちらに居られる我が支部隊の司令官アスカ・ジークレフ少将をお迎えに上がった次第であります」とジーン中佐がインターホンに向かって夏の正装で敬礼を行った。



「……居られませんでしょうか?ではアスカ・ジークレフ公爵閣下は居られますでしょうか」とジーンがいった。



 というその時「着替え終わったぞ。久しぶりだから少し手間取ったが」といってドアが開いた。


 そして蒼のMLLIをドアから外す、アスカ嬢も一緒に出て来て紅のMLLIをドアから外していた。


「どうしたヒジリ」と私がいった。


「チェックアウトするぞ」と私がいった。


「迎えも来ている。それに聖ワイトラウド国王陛下からの書簡も二通預かっている」と私がいった。


 ヒジリがどうしてといった表情でこちらを見た間違いない事実だと認めざるを得なかったが公爵とは。


「分った今開ける」といってヒジリがドアを開けた。


「少将閣下、技術中佐お迎えに上がりました」といってジーン中佐がドア前で再敬礼した。


「下の車寄せにクララ准将閣下の運転するお車が来ております。付きましては少将閣下のお車を私目が運転し基地まで乗って行きますので鍵をお渡しください」とジーン中佐がいった。


「分った」と私がいって鍵をチャラリと出して歩いて行く。


 直立不動で敬礼をするジーンに「待たせたな、コイツを任せた」とキーを差し出した。


 敬礼をジーンが解いて鍵を受け取る。


「白い閃光殿におかれましては、聖ワイトラウド国王陛下からの書簡を基地で厳重に保管しておりますので是非基地までお越しいただきたく」とジーンのほうでもいった。


「ヒジリ殿、サヨリ殿、少々不便をかけるが、これからも仲良くやっていきたい私の頼み聞き届けてもらえるか」と私がいった。


「そしていった、私の強さの秘密を知りたいといったのは誠では無かったのか?」と止めの一撃をほり込んだ。


「分かった直ぐに」と振り向くとそこに全て荷物をまとめたサヨリ嬢が待っていた。


「陛下のお言葉をお受けするまで国には戻れません。行きましょう」とサヨリ嬢がいった。


「……怒らないと約束したものな」とヒジリがいった。


 といって左手ではなく右手を差し出した握手の構えだったので。


「少し長くなるかもしれんがよろしく頼む」といって私も右手で握り返した。


「では行こうか」といって歩き始める。


 魔導式キー一式をいつの間に四本とも持った私が先頭を歩きその次にジーン中佐が歩いて行く、その次にヒジリとサヨリ嬢を挟みアスカ嬢が最後尾を歩いて行く。


 エレベーターホールにはバトラーが待っていた「閣下こたびは当ホテルの貸し切り誠にありがとう御座いました」


 すでにエレベーターを止めて待っていてくれていたのであった。


 全員と荷物が収まると一のボタンをジーンが押した。


 そして一階まで辿り着くとワルキューレ嬢が待機姿勢で待っていたので。


「ワルキューレ中佐、アスカ技術中佐の直衛に付きなさい」と私がいうと。


「ハイ了承しました」とワルキューレ中佐がいって私に向かって敬礼した。


 そのままロビーを抜け車寄せまで出るとリムジンの両開きのドアがオートでが開いた。


 後席を譲る、と共にワルキューレ嬢に指示を出した「ワルキューレ中佐各自の荷物四つとも後部のトランクに積んでくれ」それと同時にトランクもオートでオープンした。


 まず「白黄赤青の順に右から積んでくれ」と指示も出す。


 ワルキューレ中佐は軽々と荷物を積んでいった積み終わるとトランクを閉めた。


 その後、「ヒジリとサヨリ嬢は後席へ」といって後席を譲ったあと、私ワルキューレ嬢アスカ嬢の順で前席へ向かい合う様に座った。


 そのまま内線スティック電話を取り出し九九-九二〇九へコールしたミハエル卿への直通電話である。


 スピーカー会話にされた様だった。


「これから基地に戻ります会わせたい者が居るのですが会っていただけないでしょうか?」と聞くと「誰に合えばいいんだ」と師匠の声が聞こえたので「白い閃光をご存じですか?」と私がいうと「珍しい名前を出すんだな。よし分った会おう。何時ころに来る十四時は診察の時間だから一時間は動かせねえ十五時以降なら会おう」といったので「ありがとうございます」というと「礼をいわれるこっちゃねぇ、興味があるから会うんだ」といったので「では十五時以降で予定を組みます。何か欲しいものはありますか今は外なのである程度は自由が利きますよ」というと「肉が喰いてえ味の濃い奴が」といわれたので「善処しましょう」といって「クララ、味の濃い目の肉を売っている店へ寄せてくれ」、「了承しました」といって「お二方少々寄り道しますよ」とクララ嬢がいった。


 そして二分後「この右手にある精肉店で良いローストビーフが売ってます、味は一番濃いですね」、「分った私が行って来よう」といって降りると即、太刀を持ったまま店に行くと並んではいなかったので「店主、注文だローストビーフの塊を三つと切ってある奴を一キログラムづつ頼む」といって待つと「計四キログラムですね分りました二シルズになります」といわれたので「これで」といって五シルズ硬貨を出した。


「お釣りと品物でございます。ありがとう御座いました」といわれたので「ありがとう」といってそれを受け取りすぐ戻った、三シルズを小銭入れに突っ込んで。


 濃ゆい匂いが車内に広がった。


「まあ強さの一部だから、その人に必要なんだ」と私がいうと「肉が食べたいそうでね、病院食だと飽きるんだろう」と私が続けた。


 サヨリ嬢はなんとなくわかったような感じの顔をしたが、ヒジリのほうが結びつかない様であった。


 それから下道ではなく上道を使ったので十分はかからなかった、「正門ゲートから入る、支部隊隊長、もとい総長に連絡が取りたいものは内線〇〇-〇〇〇〇へかけてくれ」と支部隊通信を復活させた。


「ちょうど昼か」と私がいった時計も〇〇:〇〇だった。



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