第十一節:黒騎士VS黒騎士と神の召還

「上からお邪魔するぜ」という声が聞こえたかと思うと僕の両脇に二人飛び込んできた。


「!!! まさかそんな筈は!!!」と二人同時に呟いて。



 黒い服の一人とピンク色の重装アーマーをまとった一人が飛び込んできた。

「十四代目黒騎士ミハエル・Kケイ・カニンガム参上」とこの上なく静かにいうと、「黒騎士は一人でいい確かそーいったよな。その後引退したんじゃなかったんだっけ?」と。


「十三代目黒騎士ことパトリドット・J・スバル!」、「エリー例のヤツを彼に」とエリーと呼ばれたその子が僕に太刀を渡した。


 これは、流石に尽き欠けている体力が剣の重さに負けそうだったので、再び“気合”といいながら持上げる。



「そいつをヤル特製だがお前なら扱えるはずだ」


「いつの間にか神官戦士殿か」


「そいつで救いに行け時間は無いっ!」


「ハイっ」というと人質までの最短距離を駆けるすると悪魔が群れをなして来たが円月斬といって居合を抜きながら周囲を切り裂いていく上乗せ精神武具創出及び過剰出力と再発動させる今度はその太刀に吸収されて行き太刀そのものが発光していく。


 悪魔が切り結ぼうとするがそのまま斬られて行く。


 そのまま移動攻撃を実施しながら人質の前に巨大な悪魔が背を向けて居たが構わず兜割を実行した。


 巨大な悪魔が真っ二つに割れる。

「助けに来た」といったがすぐさま“高位治癒”、“再生”と対象を二人にした上で二連撃で二人に掛ける。


「おお動ける」とユナ御婆様。


 クララが、「後ろ!」といっていわれるがままに背面側に逆袈裟を実行する。


 悪魔はまだいた、今の逆袈裟で一体の悪魔が倒れる。


「まだ何か居るのか」といいながら魔力感知を常動で発動する。


 後ろにデカイ魔力を感知したが、それは今は無視してもいい対象だった。


「とりあえずこれを壊しておかないとな」といいながら二人の間に設置してある宝石をカチ割った。


 二人が自由に動けるようになった。


「早くこちらへ」とエリーさんがいった。


 クララとは視線で。


 ユナ御婆様はクララ嬢が手を引いて移動する。


 出て来る悪魔を何体斬り倒したのか分らないが。


「この剣ならっ。エリーさん少しお下がりください」というとほぼ最後の一発。


 悪魔で道が塞がれている今だからできる技があった。


 次元斬といって逆胴をなぎ斬る射線上に居た悪魔の大半が消滅する。


「道は空いた今のうちだ!」といって駆ける、当然出てくるやつは次元残の名残で

スパスパ斬っていく廃材の山までこれた。


 直後、後ろの地面が崩壊し奈落ならくを創っていく。


 太刀を一旦納刀する。


 流石に消費が可笑しいなと思えたがアレをやるしか無かった、「ちょいと大技をやる少し離れていてくれ。五秒ほどで済むから」といって神聖魔法を唱え始めた長めのヤツである


「『サリーネ神』召喚!!」といい放ち、「エリアオブゴッド!!」とも唱える。


 その瞬間大半の悪魔は消滅し神が顕現し白銀に輝く鎧と剣二本を持ったサリーネ神

が降臨したのである奈落の上に。


 神聖語で『正義の神サリーネ神よ、この奈落を閉じてください!!』と僕が叫ぶ。


 その直後、顕現したサリーネ神が崩落状態にある奈落を埋めていく奇跡の御業が目の前に出現した。


 そして十四代目黒騎士は十三代目黒騎士を追い詰めていっていたさらにそこに、「エリアオブゴッド」が掛かったのである。


 悪魔付きになっていた、十三代目黒騎士の無限の力の源が封鎖されたのである。


「仕掛けるのはここしかないな」といってミハエル卿が「パトリドット!喰らえ双円刃!!」といって切り結ばずに切り抜けた。


 パトリドットはもうパトリドットでは無くなっていた。


「出番だ!神官戦士いやさ『アスカ』!」ほぼゼロ距離まで踏み込む、「エクソシズム!!」


“ズドムッ”


 という音がした。

 太刀を引き直し、「これでも喰らえ、イヴィルセイバー!!」といって居合をゼロ距離から放つ。


“スパッ”と切れたが、


「まだ残るか!」とミハエル卿がいった。


「リィンカーネイション!!」


“キィン”


 甲高い音がなると十三目黒騎士パトリドット・J・スバルがキラキラとした、光柱に替わりその後塩の柱と化した。


 残っていた悪魔はもういなかった。


 但し僕も力尽きてその場に倒れてしまったのである、ドクターが呼ばれ、


「極度の精神疲労ですがどうやったらここまで消耗できるのですか?」とドクターがいった言葉を最後に僕の意識は暗転した。


 十四代目黒騎士の逗留している屋敷に、いつの間にか全てのものが運び込まれていた。


 FPTもMMもクララ嬢が移動させてきてくれたらしかった。


 預けっぱなしでは大変だろうからという上級貴族マドリエル侯爵の巨大な邸宅にである。


 黒騎士ミハエル卿のFPTと僕の伯父からもらった旧めのFPTが並ぶという貴重な瞬間でもあった。


 マドリエル侯爵としては黒騎士の愛弟子ともいえる者が居るというだけでお会いしてみたい。


 といえるくらい若く(九歳位の)好奇心旺盛なお方であったことを告げて置く。


 起きて最初に見たのはクララ嬢のこちらを見る心配そうな顔であった。


「起きられました」とクララ嬢ドクターも直ぐ近くに居りこちらの状態をしっかり見てくれておりいいお医者様であったことだけは確かである。


 しかし僕の一回目の目ざめは一瞬訪れただけで直ぐに力が尽きてしまった。


 ドクターの声だけ聞こえた、「まだ四日から五日は安静にしておくほうがいいでしょう」と。


 ミハエル卿の配慮により、逗留しているマドリエル侯爵に許可を取って。


 クララ嬢もユナ御婆様も一緒にこれていたのは幸いであった。

 流石にバレたかもしれんとユナ御婆様は思っていたらしいが、今のところ無事ではあった僕にはバレた可能性が高かったが、それでどうこうする相手では無いということに命を救われたのである。


 これ以上にない位助かったので、ギルドへ迎え入れて見ようかと本気で考えていたらしい。


「うっここは? 目が覚めた時にあまりにも明るく部屋はここまで明るかったか?」と勘繰った位であった、それもその筈部屋そのものが違うのだから仕方が無い。


「クララ、ここは?」と聞くと


「ミハエル卿のご逗留先のマドリエル侯爵様のお住まいです」直ぐに起きようとする。


「まだ寝て居なくては」といってクララ嬢に抑え込まれてしまった。


 それ位力がというか精神の消耗が激しかったみたいであった。


 ドクターもすぐ来てくれて「もう二日から三日は安静かな?」といわれるくらいであった。


 ミハエル卿も来てくださっており、「よくやった、まだ寝てろ。十三番波止場のヤツらは壊滅させてきたからしばらくは大丈夫のはずだ」


「しっかし力の使い方をもう少し伝授しておいたほうが良かったかな?」とはミハエル卿の言葉であり。


 事実であった。


 確かに怒りのゲージを振り切った状態で、戦っていたので力の加減ができなかったという事実はあるものの、「これを続けていたら死ぬぞ?」


 とミハエル卿にいわれてしまうくらいダメな状態であったのは確かである。


「チイとばかし強くなってはいるが俺にいわせりゃマダマダだ」とミハエル卿。


「もう少しだけ付き合ってやるからもうちょっと力の使い方を巧くなれ」


 と寝てる状態の僕にいって下さった。(とコレはあとからクララ嬢から聞いた)


「目が覚めて医者が大丈夫だといってからが本番だ」とミハエル卿がいった。



第九章:過去話後編 第十二節へ

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