第五節:王殺しと青い閃光

 時というのは内戦で疲弊している国を救いなさいという意味と捉えた、聖人シュワイデルは我々も一緒に手を導いたので僕たちも一緒に戦ってくれたパートナーの手を引き一緒に水面のように浮かんでいるゲートの中に飛び込むことにした。



 聖人シュワイデルがうなずくと、時の姫巫女様が「またいつか時の果てでお会いしましょう。私はアクエリンデルと申します」と言われたのであった。


 それを最後に神域を飛び出し、最期に聖人シュワイデルそして僕たちとパートナーたちが一瞬で転移されワイトラウド国の王の前に飛び出したのである。


 そして、聖人シュワイデルが王に向かってこう言った「そなたは本当に王か?」と。


 我々はパートナーと一緒に近衛の兵士から聖人シュワイデルを守らねばならなくなったが、近衛兵が聖人シュワイデルに向かって平伏したのである。


 次々に同じようなことが起こった。


 王は「私が王だ玉座は渡さん!」と言ってレーザーガンを抜いたが僕が瞬間的に居合抜きからの衝撃刃を放ち王を玉座ごと吹き飛ばしたため、王は玉座ごと台座の後ろに転がり落ちた。


 その際に王は自らの心の臓を撃ち抜いてしまい、王は命を失ったのであった。



 これが僕が最初に殺した人間ともなってしまった訳だが、「戦争中のことであり致し方ない」との見方が大多数となったしほとんどの人が「これも運命だ」といったが。


 事実として僕の心に重くのしかかっていたのである、これを機会に僕は神官戦士団を離れようと心に決めていたナイツでない人間を手にかけてしまったのだから当然のことだと思っていたわけでは有る。


 戦争とはいえ本来は守るべき側だった筈なのだが、王が私腹を肥やし貧民が至る所に発生しても王は豪遊をやめず。


 むしろ貧民が悪いといって貧しくなった者たちから、殺していったのである正に悪魔が下りたような所業であったとしかいいようがなかった。


 なので「気に病むことは無い」とはいわれたが、ナイツでない人を一人殺してしまったことは事実であったたとえそれが戦争終結の引き金になろうともである。


 ナイツ同士なら気に病むことは無かったかもしれない、ある意味そう思ったが「そんな人間が英雄として迎えられるわけにはいかない」といって。


「退団届を出すことにしました、神官戦士としては廃業ですよ本来救わなければならない人間を殺してしまったのだから」と僕が呟く。


「救ってもギロチンにかけられそうでしたけれどもね」と僕が続けた。


 ふと聖人がいった「お主に罪はない私に罪があるだけだと」


「私がもう少し早く目覚めて居ればこのようなことには成らなかったろうに」ともいった。


 謁見の間に今まで良い目をしていた上級貴族たちが私兵と共に雪崩れ込んできた。


「今ヤツを殺せば我々が正義だ」といって聖人に銃を向けた、数の暴力である。


 そういった矢先に僕が通過したその場を次元斬といいながら。


 片手に刀もう片手に魔導光剣を持って。


 通過したところ全てが斬れた、正に瞬間だった。


「あれ?」とか「おや?」とかいう声が聞こえた。


 僕の後ろでそして侵入してきた私兵と私服しか肥やしてこなかった上級貴族たちが上と下に分かれた、その瞬間泡になって消えたモノも居た悪魔が扇動していたのであった。


「これでこの国の汚点は消え去りました」と僕がつぶやいた。


「あとは聖人シュワイデル様、よろしくお願いします」ともいった。


 友がいった「また会おうぜ!、俺たちの中だ落ち着く先が見つかったら手紙でもくれや」とヒジリがいった。


 友は僕が一度いい出したら聞かない性格だというのを、知っているのであった。


「パートナーは連れてけよ!」といって友がクララ嬢の背中を押した。


 クララ嬢がいった「貴方の罪は私の罪でもあるのです」と。



 因みになぜ魔導機が有るかって?



 実家に帰ったあとのことであった。


 実家からは坊ちゃまが立派なナイツになってお戻りなされたぞと歓待を受けたが、ことがことであったため事情をしっかりと話し「少し自身を見つめ直したいといって又、家をお願いすることになるが又お願いしてもよろしいでしょうか」と僕が言ったのである。


「そうですか又寂しゅうなりますなぁ家のほうはお任せください。いついかなる時に帰ってきても大丈夫な様に、そのままの状態を維持させますので」と又もやサインを交わし出かけようとした所へ伯父が帰って来たのである。


 伯父が今は仮の主人として実家に逗留しているのであった。


 当然伯父にも、その話は伝わり。


「そういうことになっているならちょうどいい」と伯父がいった。


「俺は新作を組むのに忙しいんだ!」と続ける、庭の端のほうにいつの間にかMMのサイロが組み上がっておりまだ骨組みでは有ったがそこにMMが有ったのである。



 そして伯父は「ちょっと待ってろ」といって自分のパートナーS型に「ルリ、俺の荷物を全てFPTから投げ出せ。MMとFPB一台はそのままでいいMMのキーとバイクのキーは挿したままにしておけよ」、「それとルリおまえの荷物も全て投げ下ろせ時間が無い急ぎだ」と言う伯父も自分の荷物をボカスカと投げ下ろしていた訳で。


 夕方手前位までそれが続き荷物が全て空になった「FPTとMMとFPB、こいつ等をやる」と伯父がいい切ったのである。


「伯父の俺の名ぐらいは覚えていけ、アレックス・Gガリトン・ジークレフだ。今はまだ無銘だがそのうち、MMの設計者として名を残してやる!!」ともいっていた、凄く元気な伯父では有った。


「『データパッド』はあるか、旅の必需品だぞ」といわれたので持ってないことを告げると。


「コイツはまだ封を切っていないヤツだから、問題はないはずだそれも持っていけ」と『データパッド』を投げた、新品らしかったので落とさないようにキャッチする。


「良い腕だ、お前はまだ若いこれからいろいろなことを体験するであろう、それでもくじけるな必ずい上がれ、そこには仲間か優秀な部下が待っているはずだ」ともいってくれた。


「それらは選別だ持っていけMM無しでナイツやってては廃業してるのと同然だ俺のお古をやるから持っていけ、金? 気にするな伯父なんだそれ位させろ」という気前の良い伯父が居たのでミヒャイルとFPTと移動手段は持ってたわけなのだが。


 その後、聖人シュワイデル様が王となり、聖ワイトラウド国王陛下となったことを『データパッド』に乗るニュースで知ったわけだが。


 当然、自分を見直すために西方から離れる必要が有ったのは間違いなかった。


 そして物見遊山であれば、もっと気は楽だったかもしれないが。


 とりあえずケジメを付けたいと思い神官戦士団をやめた、モノの行く当てなど無かったわけであるからして。


 いったん実家に帰りはしたものの、ことがことであっただけにやはり居ても居たたまれなくなり飛び出してきてしまったのだ。


 MMとFPTとFPBだけもらって、クララ嬢と一緒に。


 東方へ行くと神域を思い出してしまうことから逆方向へ行こうと思い、大陸に渡ることにしたのである。


 神官戦士団をやめる時にまで稼いでいたわずかな備蓄と王を倒したことによる褒章ほうしょうが出たため、貰わない訳にもいかず受け取ってきてしまっていたというのも僕を西へ駆り立てた要因だったのかも知れない。



第九章:過去話前編 第六節へ

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