第八節:階級付与
赤い絨毯というかシートをボタン一つでまとめ上げるとクララ嬢がリムジンのトランクに入れて、
「総隊長車を出しますよ」といった。
ワルキューレ嬢が、
「私は秘書官の手伝いをします」といったので許可を与え一緒に居て危なかったら直ぐに助けるように、もし幽霊が出たら私にすぐに連絡するようにとも伝えた。
リムジンFPVの中身は私とクララ嬢だけになった。
ケースを開けようと思ったがどうやら魔導印証が必須の様であり。
それが無いと本人認証が効かない5段認証になっているらしかった。
「一旦、支部隊隊長室に戻るしかないか」とため息をついた。
「何が入ってたんですか?」と運転しながらクララ嬢が聞いた。
私が答える、
「まだ見れてないんだどうやら何時もの三段認証ではなく五段認証になってるらしいんだ」と答えるにとどめた。
「何かまた怪しげなモノでも入っているんですかね?」と気持ちの良い運転をしながら答える。
そのまま一旦FPTの中にリムジンFPVを停車させリムジンから荷物と一緒に降りることにした。
隊長室に戻ろうとすると、隊長室前にダイヤとジーンが居た。珍しい組み合わせでは無いが、「どうしたんだ?」と聞くと、「階級が
レオンは今三番隊と一緒に街外周の調査任務を行っている処らしかったので居なかった。
四番隊の隊長も居ないまぁ待機中だから外すことは出来ないのであろうが五番から六番隊の隊長も居ないのは不思議な感覚だったが、そういえば彼らはまだ寝ている時間だったなと思い後回しにするかと考えた。
ケースを開ける件が有るので執務室まで上る。
執務室の応接間にダイヤとジーンがいた。
そわそわしてどことなく心ここに有らずのダイヤとジーンは逆に漸く箔が付いたかといった感じで落ち着いて、クララ嬢が出したお茶を啜っていた。
私はID証、光彩確認、顔形パス、魔導認証(これが魔導印証)、DNA認証を済ましてケースを開けることにした。
流石の五段認証にこちらも冷や汗をかかざるを得なかったがこればかりは仕方が無いというものばかりが詰まっていた。
まず全部隊構成の入った『チップメモリ』そして書簡が九つ一番隊から七番隊までの隊長宛てになっているということであった。
そして秘書官宛ての書簡が一つと私宛ての書簡が一つであった。
そして新型の私専用に誂えられた『データパッド』ギルドで改造を受けたモノである元になったのはシリウス社製二九〇四〇らしかった。
部隊章がバッチリと浮彫されているものであり、反対側はギルド徽章がしっかりと金透かし彫りで入っているモノであった。
まずは自身の書簡を見ずに、誰の書簡を見るというのかという思いが有りまず。
自身の進退を確認することにした、茶をすするのを一旦あきらめて。
編集作業もいったん保存して、何が起こってもいい様に周りを整えてから。
自分の分から見ることにしたのであった。
封を切る。
そして書簡を開く、まず目に飛び込んだのはギルド評議会の魔導印証が真中にでかでかと押印してあった。
そしてアスカ・ジークレフ、この者をギルド少将として任命する。
とでかでかと書かれておりその書簡にはヨナ様の魔導印証と評議長の魔導印証も押してあった。……思わず目が点になる所であった。
あーこりゃ正規騎士団にもモノがいえるなとは思ったが滅多にあることでは無いのでとりあえず他に何が入っているかを確認していくと、階級章とMMLLI(デザイナーのMLLIではなく)ミリタリー・マジック・ライブ・ライン・イルミネーターが入っていた。
長さは八センチメートルの幅は一センチメートルの厚みは二ミリメートルの仕様で、少将を示すコードと魔導式表示が入っていた。
これは右胸に絶対つけなきゃならないやつかそう思ってさらに袋の中を見る襟章も肩章も階級章も入っていた。
魔導式ではあるが発光はしないが汚れない加工が施された奴だった、MMLLIもそれ自体は発光はしないものではあるのだがデザイナーのものと似ているのだが魔化強度が二百はあるものであった。
思わずため息が出てしまう。
流石にクララ嬢がこちらの落胆? に気が付いたようだった。
「何かあったんですか?」と心配そうに聞いて来てくれる。
そして私の机の上に広げられている各種のものを見て、「おめでとうございます」といってくれた。
確かにおめでとうございますっといわれるだけのことにはなってはいるが比肩してそれだけの重みをもっているともいえるモノでは有ったので。
とりあえず心を落ち着かせるために着用してみることにする。
両方の肩章を付け、MMLLIを付けその下に階級章も付け、そして襟章も付ける。
がしかし、落ちつか無くはなった様な気がした。
がまだ私にはやることがある、と思い自らの『データパッド』を開き新しいデータパッドとリンク接続させるすると勝手に新しいものにスルスルと読み書きし始めたこれは便利だなと思っていた。
他の八人分の書簡がようやく目に入って来た。これを渡さなければならないそれを実行することにした。
まずは一番隊からかと思っているとそこに二人が帰って来た。
「ただいま戻りました。残りはノインさんに任せてきました」とアスカ嬢、ワルキューレ嬢は、「特に何事もありませんでした」との報告だった。
「急ぎ帰って来たところすまないんだが、渡すモノがあってね」と私は立ちあがるとアスカ秘書官への書簡を手に取った。
「書簡ですか?」とアスカ嬢、そして私が両手でその書簡をアスカ嬢へ差し出した。流麗な文字で秘書官殿と筆で書かれているものだった。アスカ嬢はそれを両手で受け取ると、こちらのMMLLIを確認したのか書簡を左手で小脇に抱えながら敬礼を取り一歩下がってから。
「改めまして、進位おめでとうございます」といった。
そして自席に戻って書簡の中身の確認を行った。階級章と襟章と肩章ですか……と唸っていた。
書簡のサインは私同様ギルド証魔導印証がド真ん中に入っており、評議長の魔導印証とヨナ様の魔導印証が私同様に入っているモノであった、
「大尉ですか……これが軍隊式」とアスカ嬢は唸った。
次に副長のダイヤを呼ぶ。
「一番隊隊長こちらへ!」すると、
「は、はいっ!」と何時もよりはあまり元気のなさそうな声で返事が上がった、これは大幅に緊張しているなと思わせるモノでも有ったが……。
まぁ応接用の設備と執務室の間には建具が置いてあるので気持ちは分からんでもないが……。
呼ばれてぎくしゃく歩いてきたダイヤに、
「そこまで緊張するもんじゃ無いかもよ?」とはいったが私でも数秒固まったのである。
必要以上に緊張するモノなのかもしれないとは思った。
そして副長事ダイヤに、一番隊隊長殿と書かれている書簡を手渡した
「ありがとうございます、そして進位おめでとうございます」といって敬礼で占めて応接ブロックへ戻って行く。
さらに古参のジーンを呼んだ、
「二番隊隊長こちらへ!」すると落ち着いた口調で「はい」と答えこちらへ入った瞬間一瞬で敬礼を取り「進位おめでとうございます」と先にいってから入って来た。
「まさか支部隊長が少将殿とはな」と何時ものスタイルに戻っていた。
書簡を両手で渡すと、両手で受け取って左小脇に抱え再度敬礼して。二番隊詰め所に戻って行った。
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