第三節:黒騎士救護

 コクピット前までたどり着いた私は無理むりやりコクピットカバーしか残ってない黒騎士ブラックナイツの機体からそのカバーを力いっぱいはがしていった。



 レース・ナイツであるはずのミハエル・Kケイ・カニンガム十四代目黒騎士が横たわっていたさっきの四十五連十字架磔剣クロスソードをモロぐらいしており、あまり意識ははっきりしていなかったので私がコクピットから引っ張り出してアスカ嬢も来ているミヒャイルⅡの手の上にそっと下ろした。


「今はアスカ・ジークレフ侯爵だったか、あの時のボウズがもう……、大きくなったもんだ」とミハエル・K・カニンガム十四代目黒騎士がいった。


「パートナーはどうしたのですかと私が聞いた」と私。


「あの大戦のあと戦死させてしまったよそれ以来コイツが私の相棒でねとタンデムの後席にはBC種が戦死していた」と黒騎士ミハエル卿が「コイツもってしまったか」と続けていった。


 二十年の歳月はヒトをここまで変えるのかと思いながら聞いた。


「あなたは後人に技を譲らなかったのですか?」と私が聞くことにした。


治療ちりょうを行ってもよろしいですか? 今ならばまだ助けられますが」

 どうやらアスカ嬢は精霊視も使っている様だった。



「頼む」と小さく私が呟く。


「今回の件の首謀者を聞かねばならないからな」と続けた。

 アスカ嬢が精霊魔法を使う、風の精霊で隣り合う属性であるはずの水の精霊を共振させて精霊力を強くしていくそしてその液体を黒騎士殿の重傷と思しき所に生命の精霊力を活性化するべくかけ、そして“ヒーリング”も併用して治療する。


 少しづつ何かが治っていくそう黒騎士ミハエルは思っていた。


「よい仲間に、いや部下にめぐまれているな」とミハエル卿がいった。


「貴方はどうなのですか」と私はようやく……やっと元に戻った。


「もう七十歳手前に見えますよ」と私が続ける。


 斬り傷等はアスカ嬢がファーストエイドキットよりパッチを貼っていっている。



「両肩を破砕骨折はさいこっせつしていますのでガードを入れますね」とアスカ嬢、ゲル状のパッチを付けた上で体に沿わせて軟質なんしつのガードを巻いて行くそして魔導力まどうりょく硬化こうかさせる。


「両腕は完治するまでは動かさない様にして下さい両手は前で固定しておきますと同様に軟質の素材を巻くそして魔導力で硬化させた。


「流石はアルケミー・デザイナーだ」とミハエル卿はMLLIを見ずに答えた。


 そして、

「アラマキ君、君の処の救護用品を借りてもいいかな? ストレッチャーを借りたい」といった。


「了承いたしました、直ぐにお持ちいたします」と若い元気な声が帰ってきた。


 それから一分後ギルデュースが近付いてきた。


「こちらで宜しかったでしょうか」といった。


「アラマキ君、君のところに黒騎士ミハエル卿を安全が確保できる場所に静かに休ませてくれ。固定具でストレッチャーにソフトに巻き付けるし、両肩を砕かれているから動けないはずだ大丈夫」と私が声をかける。


「アスカ固定具頼んだソフトにな」と私がいった。


「了承しました」とアスカ嬢が答えた。


「黒騎士のフレームはどうされますか?」とアラマキ君がいった。


「君のFPTの輸送庫の片隅にそっと載せていいかな。ワイヤードで崩れない様にしておこう」と今度は私が答える番だった。


「了承しました。光栄の極みです」とアラマキ君が追加した。


「固定終了しました」とアスカ嬢、「機体に戻ります」とアスカ嬢が追加した。


「アスカありがとう」と私がいうと、「当然のことをしたまでです」とアスカ嬢がどことなくヤキモキしているといったふうでいった。


 コクピットに飛び込んで、「コクピット閉じて、ワルキューレ」とアスカ嬢がいった。


「了承です」とワルキューレ嬢がいってアラワシⅢのコクピットハッチが閉じられた、「先ほどから前方で掃討戦そうとうせんが始まっていますが加勢かせいに行きますか」とワルキューレ嬢がいった。


「私は隊長の背後はいごを守るために、ここに居るのです」とアスカ嬢がワルキューレにいった。


掃討戦辺そうとうせんあたりなら二番隊、四番隊、五番隊辺りに任せておけば大丈夫だよ」と私が割り込んだ。


 私はギルデュースの左手にミハエル卿を託すと。


 ミヒャイルⅡのコクピットまで戻った。


「すまん時間をかけてしまってクララ」と私がいった。


「因縁のある方ですから仕方ないのでは?」とクララ嬢がいった。


「さて黒騎士のフレームを崩さずにFPT内に入れる作業だ精密作業せいみつさぎょうになるぞ、パワーコントロールは頼んだ」といって静かにそっと黒騎士のフレームを持ち上げて行く静かに歩きFPTまで運んだ。



 アスカ嬢は大太刀を抜いてエージェントと一緒になってコマチ嬢とこちらをガードしていたこの為か大型モンスターの襲撃は無かった。



 フレームをギルデュースに預けて固定を頼むとするすると降りてしっかりとしたワイヤーさばきを見せてくれたのである。


 これは安心だと思わせるモノだった。


 FPTの扉が一旦閉状態になったのを確認しFPT側は操縦OKかとアラマキ君に聞いた。


「いつでも大丈夫です」とアラマキ君がいった。


「じゃあ我々の後をゆっくりでいいから着いて来てくれ」と私がいって、「アスカ嬢とコマチ嬢はFPTの後方をガードしてくれ」と私が追加した。



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