待っててよ 

七瀬モカᕱ⑅ᕱ

明日もいい日になれ

 ふと、彼女の声が聞きたくなった。時計を見ると丁度夜中の十二時をさしていた。


「さすがに寝てるか.......。」

 ダメもとで......とスマホの連絡先の中から彼女の番号を探して、通話ボタンを押す。


 ・・・彼女が電話に出たのは、五回電話のコール音が鳴ってからだった。


『んぅ....もしもし....?』


「あ、もしもし?遅くにごめん......。寝てた?」


『んん.....寝てたぁ......。どしたの?』

 彼女は、本当に眠そうなぽやぽやした声で話している。電話をかけたのは自分なのに、そんな声を聞いているとちょっと申し訳ないな。と思う。


「いや、ごめん.....久しぶりにさ声聞きたいなぁって思ったから。でも時間が遅すぎたなぁって今反省してるとこ。」


『別にいいよ〜........声聞けて嬉しいから。』

 彼女が話しながら、大きな欠伸をする。最初は、声だけ聞けたら十分だと思っていたけれど自分の中で『会いたい』という気持ちが徐々に膨らんできているのがわかった。


「ねぇ、次の休みどこか行こうか。」


『ん......?』


「また考えておいて?ゆっくりでいいから。」


『........。』


「あれ?寝たの?」


 急に応答が無くなったと思って耳を澄ますと電話の向こうから聞こえてきたのは、彼女の規則正しい寝息だった。


「寝たか......。」

 でも良かった、これ以上話していたらきっとどんどん気持ちが膨れ上がって家を飛び出していたかもしれない。

 彼女をこれ以上、自分のワガママに付き合わせるのも良くないような気もしたていた。


「おやすみ、今日はありがとうね。」

 音を立てないように通話終了のボタンを押して、僕はスマホを机の上にそっと置いた。

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待っててよ  七瀬モカᕱ⑅ᕱ @CloveR072

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