命を懸ける理由
@-rikako-
第1話
~未来マクミナル博物館~
アルド、エイミ、リィカ、サイラスの一行は未来にあるニルヴァのマクミナル博物館に来ていた。
アルド「ここにあるのか?エイミの言ってた占いの本って。」
アルドが図書館エリアを見回しながらエイミに質問する。
エイミ「そのはずよ。古い本なんだけどたくさんの種類の占いが記してあって一度でいいから読んでみたかったのよね。」
アルド「へぇ~。でも以外だな。エイミも占いに興味があるんだな。」
サイラス「拙者も占いにはあまり詳しくはないでござるが、おなごに人気だと前に誰かから聞いたことがあるでござるよ。」
リィカ「データによると特に恋占いが人気のようデス。」
エイミ「まぁ、私が興味があるのは恋占いじゃないんだけど…とにかく探しましょ。」
???「おや、君達も何か探しているのか?」
アルド「クロードじゃないか!君達もってことは…」
クロード「フッ…その通り、俺も自分の王国についての資料を探していたんだ。そうそう簡単に見つからないがね。」
アルド「そうだったんだな。俺たちは占いの本を探していたんだ。」
クロード「ほう…、占いか。アルドにそんな趣味があったとはな。…頑張って探したまえ。俺はもう少し奥を探してみるよ。」
アルド「いや、占いに興味があるのは俺じゃなくてエイミだけど。…まぁいいか。じゃあな!」
そう言い残し、クロードは奥に消えていった。
そして四人がそれぞれ探し始めていると、アルドが何気なく一冊の古い冊子を手に取る。
アルド「この冊子、背表紙が無いみたいだけど、なんだろう…。」
四人はアルドの手にある冊子を見た。
サイラス「これは…″時を操る魔術師″と書いてあるでござるな。」
リィカ「データを照合……作者が不明の冊子のようデス。それにこれは冊子というよりかは時を操るとされる魔術師についての記録のようデス。」
アルド「へぇ~、時を操ることができる人なんているのか…。すごいな…。」
3人がその冊子を見ているとエイミがその隣にあった本に気付く。
エイミ「あ!これよこれ!探していた占いの本!隣に置いてあったのね。」
アルド「よかったな、エイミ。それじゃあバルオキーに帰ろうか。フィーネがお昼を作ってくれてるから。」
エイミ、サイラス、リィカが頷く。
~現代バルオキー~
アルドたち四人が時空の穴から出てきたところをノートとペンを持った一人の少女が目撃していた。
謎の少女「すごい!今の何をしたの!?いきなり光の中から現れたように見えたけど…」
アルド「え、あぁ。驚くかも知れないんだけど俺達、時空の穴を通って未来に行っていたんだ。君の名前は?ノートとペンを持ってるけど何をしてたんだ?」
謎の少女「そうなんだ!いいなぁ~、あ!私はシャル。小説家を目指していてユニガンからネタ探しにバルオキーに来たんだけど…あの、あなたたちにお願いがあるの。私も未来に連れてってくれない?」
エイミ「未来に?どうして未来に行きたいの?」
シャル「あのね、私将来の夢が小説家になることで、そのために自分で本を書いているんだけど、なかなか面白いネタが見つからなくて…未来に行けたらいい小説が書けると思って!ダメかな…?」
アルド「別に俺はいいけど。確かに未来に行けば面白い物が見られると思うし、俺もシャルが書く小説読んでみたいしな。」
リィカ「私もアルドサンに賛成デス。」
エイミ「私もいいわよ。私は未来に住んでるの。実家は武器屋を営んでるからよかったら案内するわ。」
サイラス「拙者は古代出身でござるがな。」
シャル「本当に!?ありがとう!ってアルドたちは未来だけじゃなくて古代にも行けるの??」
アルド「あぁ。じゃあ未来と古代どっちも行くか。時間はあるから。」
シャル「やったー!」
シャルは笑顔で頷く。
すると突然時空の穴が出現し中から男が現れ、「見つけた…」と呟きながら、シャルを連れ去った。
シャル「キャー!!!」
シャルの叫び声が響く。
男はそのままシャルを連れて時空の穴とともに消えてしまう。
アルド達は急いで追いかけようとするが間に合わなかった。
アルド「シャル!!……くそ!駄目だ…」
エイミ「今のって…時空の穴?」
サイラス「早くシャル殿を追うでござる!」
リィカ「拉致した男性の服装が古代の人たちの着ている服装と一致しマス!」
アルド「あぁ。とりあえず、ラトルに急ごう!」
~火の村ラトル~
アルド「くそ!どこにもいない…」
リィカ「アルドサン!あれを見てくだサイ!」
アルド「あ、あれは…シャルの持っていたペンだ!」
エイミ「やっぱりこの辺りに連れてこられたのね!」
しかし、辺りを見渡してもシャルの姿は見つからなかった。
サイラス「しかし、ここに落ちているということは…シャル殿はティレン湖道に向かったようでござるな!」
アルド「そうだな。追いかけよう!」
~ティレン湖道~
エイミ「見失ったわね…どこにもいないわ。」
ティレン湖道で捜索するが、また行き詰まってしまう。
リィカ「詮索モードオン……駄目デス。犯人の痕跡はありまセン。」
アルド「一体どうしたら…」
エイミ「ここで考えてても無駄だし、一旦ラトルに戻って怪しい人を見なかったか聞いてみましょう。」
アルド「あぁ…そうだな。」
~ラトル~
アルド達は何人かに怪しい人物を見なかったか聞くことにした。すると、村で不穏な噂を聞く。
アルド「なぁ、さっきここら辺で小さい女の子を連れた怪しい男を見なかったか?」
村の女性「怪しい男?さぁ…見てないわねぇ。でも、最近若い女性が次々と姿を消しているって噂は聞いたことがあるわ。怖いわよねぇ。」
アルド「女性が消える噂か…。もう少し聞いてみよう。」
アルド「なぁあんた、小さい女の子を連れた怪しい男を見なかったか?それと、若い女性が次々に消えている噂も知っていたら教えてくれないか?」
村の男性「うーん、怪しい男は見なかったけど、若い女性が消える噂は知っているよ。最近その話題で持ちきりだからな。確か、酒場の常連だというヤツが前にその噂を話していたな。俺はあまり詳しくないからそいつに聞いたらどうだ?」
アルド「ありがとう!じゃあ酒場に行ってみるか。」
アルド達が酒場に行くとすぐ横に座っている女の人がいた。
???「アルドじゃない!どうしたの、血相を変えて…。」
アルド「キュカじゃないか!偶然だな。実は俺たち、この辺で最近起こってる若い女の人が消える噂を話している人がいるって聞いてここに来たんだ。」
キュカ「あぁ…そのことね。それは私のことよ。」
アルド「えっ…!その噂を話していたのはキュカだったのか!?」
キュカ「えぇ、私も数日前道を歩いていたら背後からいきなり襲われたの。でも、私はこの通り、戦闘には自信があるから連れてかれずに済んだってわけ。」
キュカが肩をすくめてアルド達に話す。
サイラス「それで犯人がどこに向かったのか知らないでござるか?」
キュカ「さぁ…それは分からないわ。襲ったあとすぐに逃げられちゃったから。ごめんなさい。」
エイミ「謝らなくていいわ。貴重な情報をありがとう。」
アルド「行き詰まったな…」
???「ちょーっと待つのですわぁ~!!」
酒場の外から聞こえる大きな足音がだんだんと近づいてくる。
キュカ「こ、この声は…」
アルド「な、なんだ!?」
妹分「どうして私を呼んでくださらないのです!?お姉さまを襲った犯人の居場所くらいこの私の手にかかればお茶の子さいさいですわぁ!!」
キュカ「なんであなたがそのことを知っているのかしら…。」
アルド「それで!犯人はどこに向かったんだ!?」
妹分「お姉さまを襲った憎き犯人は星の塔にいるようですわ!」
キュカ「それに、どうやって突き止めたのよ、その情報…」
キュカが訝しげに首を傾ける。
アルド「よし!それじゃあすぐに星の塔に向かおう!」
エイミ、リィカ、サイラス頷く。
~星の塔入り口~
アルド「着いたな。中に入ろう!」
サイラス「さっそく探すでござる!」
エイミ「ちょっと待って!」
アルド「エイミ、どうしたんだ?」
エイミ「これがそこに落ちてたの。」
リィカ「これは…日記のようデス。」
アルド「シャルの物ではなさそうだな。よし、中を見てみよう!」
~日記の内容~
◯月✕✕日
「今日は兄貴のロフと幼馴染みのタオと一緒に釣りに出掛けた。俺は小さい魚しか釣れなかったが兄貴は大きい魚を2匹も釣った。悔しかったが3人で出掛けられて楽しいという気持ちの方が強かった。また3人で行きたい。」
◯月✕△日
「今日はタオの誕生日だ。俺は彼女のために髪飾りを用意した。だが、兄貴も同じ物を用意していた…。双子だとこういうことがよくあって困るな…。」
□月△日
「俺は…今日、勇気を出してタオに告白することに決めた。天気はあいにくの雨だった。俺は薬屋を営んでいる彼女の家に向かった。中から話し声が聞こえたのでそっと中の様子を伺った…。そこで俺が見たのは…兄貴がタオのことを抱き締めている光景だった…。タオは俺が今まで見たことがない幸せな表情だった…。俺の初恋は一瞬で終わった。だけど、大好きな兄貴とタオには幸せになってほしいと強く思ったんだ…。」
△月◯◯日
「兄貴が重い病気にかかった…。不治の病で一生治ることはないらしい。兄貴は俺に言った…。『タオに悲しい思いはさせたくない。だから俺と入れ替わってお前がタオと一緒にいてほしい。』俺は…黙って頷くしかなかった…。」
△月□✕日
「だんだんと兄貴の具合が悪くなって、部屋に閉じ籠ることが多くなった…。タオは俺のことを兄貴だと思ったまま、会うたびに病気にかかった弟の俺のことを心配していた。タオに会うのも辛い…。俺は…一体どうすればいいんだ…!」
△月□◯日
「兄貴が珍しく俺を部屋に呼んだ。『俺はもう長くない…。お前は俺の自慢の弟だよ。タオのこと…頼むな。』俺は泣いた。俺の心はもう限界だった。………そのすぐ後だった。タオが魔物に襲われて息を引き取ったのは…。」
△月◯✕日
「とうとう俺は一人になった…。俺の大切な兄貴ももういない…。俺もこのまま死んでしまおうか。もう何をするのも嫌になってきた…。」
日記の内容はここで終わっている。
アルド「日記はここまでみたいだな…。」
エイミ「……。」
四人は悲しげな表情をする。
リィカ「皆サン!ここを見てくだサイ!何か挟まっているようデス!」
サイラス「写真…のようでござるな。」
エイミ「写真に写ってる子供達…日記に書いてあった双子の兄弟と幼馴染みのタオって子の写真かしら…?」
アルド「ん…?この女の子、なんかシャルに似ていないか…?」
エイミ「あ…言われてみれば…確かに。」
リィカ「顔認証スキャン…輪郭、顔のパーツを照合……88%一致しまシタ!」
アルド「これは持っておこう…。よし!中に入って連れ去られた人達を助けよう!」
~星の塔の中~
進んだ先に数人の女性が拘束されているのをアルド達は見つける。
アルド「大丈夫か!?」
拐われた女性達「えぇ…よかった。私たち助かったのね!」
アルド「あぁ。もう大丈夫だ!今拘束を解くからな。」
拐われた女性達「本当にありがとうございました!いきなり襲われてずっと怖かったんですけど…」
エイミ「何かひどいことはされてない?」
拐われた女性達「はい…。最低限の食事は与えられましたし、怪我もないです。何も要求してこなかったしあの人は一体何をしたかったのか…。」
アルド「それで、あんたたちを襲った犯人はどこにいるんだ?」
拐われた女性達「今はここにいないわ。朝出掛けたまままだ帰ってきていないみたい。」
???「だ、誰だ!?あんたたちは!?」
シャル「アルド!!助けて!」
アルド「シャル!!それにあんたは…子供の時の写真に写ってた…あんたがみんなをを拐ったのか!?」
双子の弟「くそ!外には捜索に来た兵士達がうろついてるし、時間の問題かっ…!」
双子の弟はボソリと呟いた。
双子の弟「あぁ…。そうだ!俺が襲ってここに拘束した…!あいつは…タオはもういない!だから…!」
シャル「は…はなして…!」
弟はシャルを人質に取ったままアルド達に怒りをぶつける。
アルド「だからといって関係ない人を襲う理由にはならないだろ!シャルを離すんだ!」
弟「し、知るか!こうなったからには…お前らには消えてもらう!来い、お前達!」
弟は魔物を呼び出し、アルド達に襲わせる!
アルド「みんな!こいつらを倒してシャルを助けよう!」
エイミ「えぇ…!」
リィカ「ハイ!」
サイラス「いざ!」
~戦闘に入る~
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