『Mr.ホームズ 名探偵最後の事件』 認知症の説得力はアヘン?

 認知症になったホームズが、記憶が確かなうちに過去を精算する話。


 第二次大戦後、ホームズは子供連れのシングルマザーに世話をしてもらっていた。

 彼は亡き兄マイクロフトの遺品から、かつての助手ワトソンの書籍を入手。そこには、自身の活躍が虚構に満ちた内容で書かれていた。

 自身を引退に追い込んだ『アン・ケルモット夫人』の事件を描いた映画を鑑賞しても、ウソばかり。

 こうなったらと、自分で事件の顛末を残そうとする。


 だが、九〇すぎになったホームズは、認知症を患っていた。


 日本で手に入れた山椒で、記憶保持に挑むが、たいして効果はなかった。


 ホームズは薬草を直接身体へ注射しようとして、立ちくらみを起こして倒れてしまう。


 


 ホームズ役は、イアン・マッケラン。

 『X-メン』のマグニートー、『ロード・オブ・ザ・リング』では魔法使いガンダルフなど、つよつよ老人を演じている。

 そんな彼が、認知症に苦しむホームズを演じる。


 真田広之さんが出ているのだが、声は吹き替えになっていた。


『エノーラ・ホームズの事件簿』はホンモノの家族という設定だったが、本作は疑似家族ものだ。

 ホームズが弟子を育てるなら、といった感じで話が進む。

「もしホームズが子ども、あるいは弟子を持ったらどういう対応をするのか」

 と連想できて面白い。


「あれだけの読書家が認知症って」

 と思ったが、よく考えたらホームズってアヘン中毒だったなと思い出す。認知症への説得力もあるのだ。

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