『騙し絵の牙』 原作読んでるのに騙された!

 出版社社長の急死に伴い、社内改革に翻弄されることになる一人の編集長の話。


 主人公は大衆雑誌の編集長。

 上層部は、ライバル部署である文芸誌と、どちらが廃刊になってしまうか争っている。


 主人公は雑誌の目玉として、大物作家の作品を漫画としてリブートを企画する。


 また、モデルのミリタリ趣味を題材にした小説を、モデル自身に書かせた。主人公は、彼女がペンネームを使って同人を書いていることを知っていたのだ。


 さらに、文芸誌の最終選考で落とされた謎の新人作家を、自分が担当することにした。


 原作小説は大泉洋さんをモデルにした「当て書き」という手法を用いて、実に7年の歳月を持って描かれたという。



 ネタバレすると、原作と全然結末が違う!



 主人公は妻帯者で、ヒロインは原作だと主人公の愛人だ。


 しかし、映画では主人公の家庭など一切出てこない。


 ヒロインも、新人編集者ながらも芯の強い女性として描かれている。


 というのも、どうも映画化の際に脚本を脚色したらしい。


 これはこれで面白い。


 原作も曲者ぞろいで、主人公の巧みな罠にまんまと騙される感覚が楽しかった。

 映画は映画で、「してやられた感」がものすごい。

 原作を読んでいる分、それに準拠しているのだろうと思った。

 そしたら、「こうきたか!」と清々しく騙してくれる。

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