『MIFUNE THE LAST SAMURAI』 マーティン・スコセッシ!?

 三船敏郎と黒澤明いよる共同作業の記録。


 元々三船は、撮影スタッフに憧れて映画業界に入ろうとしていた。


 当時は、低くて渋い声で、戦時中も上官から「生意気だ」と殴られたほどであったという。


 そんな声と独自性が認められ、役者としてデビューすることに。


 三船敏郎と言えば、二枚目なだけではない。

 ケモノのようなギラついた視線が印象的だ。


 このドキュメンタリー映画には、映画監督のマーティン・スコセッシが登場する。

 黒澤明監督のファンだったらしく、


「ミフネは『羅生門』を演じるとき、動物園のライオンをモデルにしたそうだよ!」

 と語る。


 また、『1941』のメガホンを取ったスティーブン・スピルバーグも出るという、豪華なキャスティングだ。




 映画は中盤から、黒澤監督との奇妙な友情の話に流れていく。


 細かいダメ出しが激しい黒澤は、「自分の指示に従ってくれる役者しか相手にしなかった」という。


 そんな黒澤も、三船にだけは「好きに演じろ」としか指示しなかったらしい。


 その分、衝突も凄まじかったとか。


『用心棒』のときは、飛行機のプロペラを使って嵐の模様を撮影した。

「敵対勢力と、お互いの意地がぶつかり合うシーンだから、目をつぶるな」

 と指示があったという。


 だが、「赤ひげ」で出尽くしてしまい、黒澤はスランプになった。


 三船も映画会社を設立して失敗。TVドラマに演じざるを得なくなり、不倫報道で人気も地に落ちる。



 晩年の映像もあったが、ケモノのようなギラついた視線は最期まで健在だったように思う。

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