イグジット

僕たちはオブザーバーだった

遮蔽物の陰に潜んで

終わりの見えない撤退戦が

通り過ぎていくのを待った


当たることのない予言

塔のようにうずたかく

積み上げられた無意味

それ以外のものが欲しくなったので

誰もいなくなったサイトの

周辺を巡った

夜が来るたびに

ここから逃避することを夢見た


祝祭も

終末も

すべてのことは既に起こった

短い射程の中におさまる景色

世界にはもう何も起こらない


何週目かの再放送さえ

とっくのむかしに終わってしまった

あとは

何をも恨むことさえできずに

ただ 目の前の遺構を眺める

潮が

遺骸と瓦礫とを

緩慢な動作で運び去っていく


広角レンズに

おさまりきらなかった

不可解で

不明瞭な

いっさいを諒解する死

あるいは

破壊された慰霊碑の前に

捧げられた花の

しずかに枯れた夏の日

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