第12話 500円で光る眼鏡

17時を過ぎていた。県道57号を北上していた。左側を歩いていたのだが、とつぜんMが右側にある自販機に歩み寄った。Mがボタンを押すとドリンクが出て来た

「?」

何が起きたのだろうとMに近寄ってみた。

「500円入れっぱなしになってたんだ。ボタンが光ってて、500って出てた。1本おごってあげるよ」

とMは眼鏡をぴかぴか光らせ笑顔で言った。1本選ぶと、Mはつり銭をポケットに入れた。

しばらく進んで県道51号を右に折れた。これは、今グーグルマップを見ながら書いているから、県道何号だとかわかっているだけで、当時は何も地図を見ずにデタラメに歩いていた。そのわりにはさいたま市と隣市の境を歩けていたのが不思議である。

1時間以上歩いて高崎線の線路が見えたときには19時近かった。

「もうギブアップしかないね」

Mと意見が一致した。11時間も歩いた結果、さいたま市を半周しただけであった。上尾駅前でキャンドウに入って、冷やかした記憶がある。

上尾駅のプラットフォームの写真が現存していて、19:20となっている。

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