如月家の人々~恋愛模様のその先へ~

一ノ瀬 彩音

第1話 壱

私は如月家で育ち、今はごく一般的ではありますけど、

某企業に勤務しているOLですが、そんな私でも不満な事はあるのです。


不満な事とは今年で30歳になるのに結婚していない事ですが

結婚に対して焦っているのは事実ですけど、それでも私の容姿は

地味でパッとしないのです。


こんな容姿で普通な女性の前にお付き合いしてくれる白馬の王子様はいるのでしょうか?

私はいないと感じているのですが……。


私のお名前は如月彩きさらぎあやです。


私はお仕事帰りにいつも立ち寄っている居酒屋に

寄るといつもの席が座られているのですから、

従業員から別の席に案内されると何故か知らない男性と

相席になるのです。


この際座れれば、いいのかなって思っておりまして、

男性とは口を聞かなければいいのかなって感じです。


『早く結婚したいな~』

と思いながらビールを飲んでいると男性が私に絡んでくるのです。


『これってセクハラ? セクハラよね』

私は男性にこう言うのです。


「絡むのはやめて下さい、お願いします」

「いいじゃねぇかよ、一人だろ」

「一人ですけど……やめて……」

「そんなケチ臭い事を言うなよ」

「いい加減にして下さいっ!!」

と怒鳴ると周りに居る他のお客様が私の事をじっと見ているのです。


恥ずかしい私は両手で顔を覆うと頬が朱色に染まっておりまして、

今すぐに会計を済ませて居酒屋から出ると自宅へ帰宅するのです。


私は今年で30歳になるのに両親と共に暮らしておりまして、

家族3人で暮らしているのです。


自宅へ到着すると玄関ドアを開けて中へ入り、玄関で黒のヒールを脱ぐと

そのままリビングへ行くと父親しかいませんが

父親はソファーで腰を下ろして座っているのです。


そんな私は父親の側まで行って声をかけるのです。


「お父さん、お母さんは?」

「家を出て行った」

「えっ? どうしてよ」

「喧嘩したからな」

「追いかけないの?」

「そんな事はしない」

「そっか、お父さんも大変だね」

「お前はいいよな、結婚してないからな」

「どうして人が気にしている事を……」

「あっははは、お父さんがお前を女として抱いてやろうか?」

「嫌よ」

父親と私は血が繋がっていないのです。


私は母親が昔にお付き合いしておりました

彼と間に出来た子供なのです。


母親とは血が繋がっていても父親とは血が繋がっていないのですから

愛し合い、結婚も出来るという事です。


しかし、義理でも父親ですから

そんな事をするわけにはいかないし、もし、してしまうと

母親に失礼なのです。


父親のお名前は如月成哉きさらぎせいやで年齢40歳ですが

母親のお名前は如月道子きさらぎみちこで年齢50歳です。


父親は某企業の社長でもありまして、本当にやり手のエリートでもあるのですが

いつもお仕事ばかりで母親の事を構うというのを怠っているのです。


そんな事だからきっと父親と母親は喧嘩して

母親が家を飛び出していったのでしょう。


母親からすると再婚になるのですけど、再婚相手が40歳なのですから

母親は50歳なので母親の方が年上になるのです。


私も今年で30歳になるのですけど、父親は40歳で年上なのですが

父親と愛し合うという事はマズイです。


「お父さん、そういう事はやめようよ、親子だよ」

「親子でもお前とは血が繋がっていないだろ」

「そうだけど、お母さんに失礼だよ」

「うるさいな、俺の嫁になれ」

「何を言っているのよ、嫌よ」

「うるさい、うるさい、うるさいな、いいから俺の嫁になりやがれっ!!」

「お母さんとは離婚するの?」

「離婚して彩と結婚するさ」

「そんな事を言わないでよ、お母さんが可哀想だよ」

「う、うるさいな、お前には関係ないだろ」

「お母さんを大事にしないお父さんは大嫌いっ!!!」

私は駆け足でリビングから出るとそのまま自室へ戻ると内側から

鍵をかけていまして、父親がこのお部屋に入って来れないようにするのですが

父親がドアをノックし続けているとその音が止むと私はこっそりと

鍵をかけていたのを外してからドアを開けるといきなり父親が飛び掛かってくると

私は床に押し倒されるのです。


「やめてっ、やめてよ、お父さん」

「うるさいな、母さんは家にいないからお前が相手しろよ」

「嫌よ、今のお父さんは大嫌いっ!!」

そうすると父親は激情しているせいなのか

私の唇に唇を重ねてキスしてくると

「キスしてきたね、酷いじゃない、酷いよ」

と言いながら私は瞳が潤んで大粒の涙を流して泣いていると

「すまない、どうかしていたな、本当にすまない」

と言い放つ父親は私から退くとお部屋から出て行くのです。


『どうしてお父さんはあんなになっているの?

本当にお母さんと喧嘩したのかな』


私はもう一度お父さんとしっかりとお話しないといけないような気がするのですが

どうやってお話を切り出していいのかもわからないし、本当にこのままでは

良くないのですから何とかしたいって言うのもあるのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る