奴隷剣闘士の俺が王女様に求婚されました!?
白鷺人和
第1話
相手の腹へ深く刺ささってゆく剣先が、柔らかな肉の感触を伝えてくる。
剣を腹から抜いてやると、相手は無様に背を向け逃げ出した。
俺はそれを、冷ややかな目で見ていた。
どうせ、逃げ場なんて無いのに……。
「「こーろーせ!こーろーせ!」」
闘技場中から響くコールが、俺の全身を叩いた。
俺は一つため息をつき、逃げ惑う対戦相手へと、ゆっくり近づいた。
血溜まりを踏み歩く足元から、ニチャニチャと音がする。
「やめて……!やめて……!」
相手の悲痛な叫びは、歓声にかき消され、
俺にしか聞こえない。
俺は、相手の目の前まで行き、
ゆっくりと、剣を頭上に掲げた。
日光を反射した剣先が、鋭い光を放ち、
それに反応するように、コールの声がいっそう大きくなる。
「すまんな」
俺は、相手の首をはねた。
はね飛んだ首が地を転がり、やがて力無く止まった。
地面を揺らす様な歓声が、闘技場を包み込む。
俺は、剣で相手の首を刺し、天高く掲げる。
その顔は、恐怖に引きつった表情で固まっている。
その顔を見た観客は湧きに湧き、笑っているものもいた。
俺は首を剣から振り飛ばした。
首が血を撒き散らしながら地へと落ち、転がっていく。
俺は踵を返し、出入口に向かった。
帰る俺に、観客は賞賛の声と共に硬貨を闘技場に投げ入れた。
俺は、それらに何一つ反応する事なく、出入り口から室内に入った。
入ってすぐの所に兵士が待っていて、俺の手首に手錠を掛け、乱暴に引っ張った。
抵抗することなくあるき続け、地下の牢屋に着くと、兵士は俺を牢に入れ、施錠した。
ここは、俺ら剣闘士の中でも奴隷の烙印を押されたものが暮らす牢屋。
俺は、奴隷剣闘士だ。
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