ちいさな神さま
@sasamochiyoshiji
1.嵐の前のさざ波
わたしたち人間と、似ているけれど少し違う「八百万の神さま」たちが暮らす、この世界。
世界の東の果てに位置する、小さな島国。
その国のある島に、ある夜、その国では見慣れない様式の船が、何隻か停泊しました。
岸に停まった船から、夜闇にまぎれて何人かの人影たちが降り立ちます。
彼らは辺りをうかがいながら、岩部のお社(やしろ)を通り過ぎつつ、島の内部へと進み出ました。
手に鉈や弓を携え、小声で何事かささやき合いながら移動していたその時。
「誰か、そこにいるのか?」
声がかかりました。
浜辺の見回りに来ていた島の村人が、二人。船から降り立った者たちに、話しかけます。
「あんたら、何してるんだ?こんな夜更けに明かりも持たずに」
「待て、こいつらなにか変…」
ヒュン…と音が響き、一人の喉元を矢が貫きました。
「う、うわああああ!」
恐怖に駆られたもう一人の村人が、護身用の短刀を掲げます。同時に村人の手から炎が湧き出て、手にした短刀を包み込みました。
襲い掛かってくる集団に対し、村人は火に包まれた短刀で必死に応戦しますが、多勢に無勢で追い詰められてしまいました。
「お、お前ら、一体…?」
返答の代わりに、男性の頭上に大鉈が振りかぶられました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます