「さまよえる跛行者(はこうしゃ)」とは?

 2020年12月9日に開催される「カクヨム」創作活動講座。

 この講座では、講師である新城カズマ氏の著書『物語工学論 キャラクターのつくり方』(角川ソフィア文庫)から、7つのキャラクタータイプによって魅力的な物語を生み出すことを学びます!


 ここでは、7つのタイプのうちのひとつ、「さまよえる跛行者(はこうしゃ)」の簡単な説明を行います。講座の前にチェックしておけば、より理解が深まること間違いなし! 説明がまだよくわからなくても、例に出ているキャラクターから雰囲気をつかんでみてください!



■1)さまよえる跛行者はこうしゃ

 古代の神話や伝説に多く登場する、主人公的ヒーロー像です。


・自身に欠けたところがあり、彷徨い、回復を図る。

・国に不足しているものがあり、探索し、回復して治める。

 ……といった形で、物語が形成されます。


●キャラクターの例

・オイディプス

・ギルガメシュ

・ジークフリート

・宮本武蔵

・ドン=キホーテ


●キャラクターに共通する特徴

・何かが欠如している、何かが偏っている(=非対称性)

・欠如や偏りが、外から見てすぐわかる。

・選ばれた人間であり、常人とは違う場所へ行かねばならない。


●特徴の例

・片腕

・隻眼

・国の乱れ


●キャラクター例からみる「さまよえる跛行者」のタイプ

・オイディプス

ギリシャ神話の登場人物。王子として生まれるも「父を殺し母を娶る」という予言を信じた王により、くるぶしを傷つけられ捨てられる。長じて王となるも、予言のとおりとなり、自ら両目を潰し旅に出て果てる……。

「オイディプス」とは「腫れた足」の意。オイディプスを知らない人も「スフィンクスの謎かけ」のエピソードは知っているのでは?


※跛行とは。

片方の足が不自由な状態で前に進むこと。抽象的には、釣り合いの取れていない物事が進行するさまを表す。


※非対称性とは。

欠如、偏り、過剰、超常。ハンディキャップ、コンプレックス。


●作品の例

・西遊記

・ダイ・ハード(映画)

・アルマゲドン(映画)

・赤毛のアン(小説)


■ポイント

・キャラクターのタイプ名称は「具体的なそのもの」ではなく、抽象的に幅広く捉える。

・キャラクターのタイプは、行動動機と深く結びついている。動機が達成された状態がラストシーンと考えると、物語は逆算できる。


■キャラクター作成チャート

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