MagicCentury2021.1-After

mc2021.1.22 やっとの休みで……

 去年12月14日以降の日誌になる。

 いや、まさか「これからどんなことが起こるかな」なんて書いてから、こんな日誌を疎かにするとは思わなかった。だけど理由があるから、きちんと書く!


 それは12月15日。

 次の日、再びウアさんが来店してくれたのだけど、一緒にゴブリン族のヌドラさんと、そのタイミングでミノタウロスのベーさんもご来店。お三方が揃う状況となった。

 ウアさんはいつものように遊びに来てくれて、椅子に座ってコーヒーをたしなみ、ヌドラさんはストック用の薬を買いに来てくれた。


 ベーさんは、この間、俺が渡した薪のお礼を持っていくように奥さんに言われたようで、彼が仕留めたという野良の魔酔牛の肉を大きい袋いっぱいに詰めてきてくれた。


 けど……。


 いや、これっていいのか!?

 魔酔牛は確かに、濃厚なワインを飲んでいるかのような味わい深い高級食材で……人間界でも百グラム五千ゴールドはくだらない嬉しすぎる贈り物だ!

 

 でも、これを持ってきたミノタウロスって牛の魔族じゃん。

 同族を食べることにならないのか。


 あまりに気になって質問したら、笑いながら「魔族と魔獣は違うんだ」って言ってた。よくわからんけど、彼自身が言うならそれでいいだろう。


 そんで、あまりにも多いから、せっかくだしウアさんとヌドラさんも交えて(もちろん、ベーさんも)久々のバーベキューをすることにした。寒かったけど天気は晴れていたし、絶好のバーベキュー日和だった。

 そしたら、バーベキューなら食材を持ってくるよとヌドラさんが出て行って、彼らが栽培している冬野菜をいっぱい持ってきてくれた。

 すると、それを見たウアさんは「肉が足りないね」なんてどっかに飛んで行って、あろうことか森の中から魔鳥コカトリスを捕縛して持ってきた。


 いや、だから、同族。

 ……もう何もいうまい。


 コカトリスは捌き方がわからなかったけど、お昼までかけてベーさんが血抜きをしてくれた。


 そして揃った大量の高級牛肉に鶏肉、新鮮な冬野菜。

 ……こうなったらあとはお酒でしょ!

 最近は飲んでなかったけど、倉庫に仕舞っておいたウィスキー、ブランデー、ビール、エールなんかを並べて、皆さんと乾杯。


 いよいよ始まるバーベキュー。

 うまい肉、うまい酒、昼間っからこんないい思いをしていいの!? と、四人で楽しんでいたのだけど、匂いにつられたのか、そこに12月11日に来た白ウサギさんがひょっこり顔を出した。


 すかさず俺は一緒に食べないかと提案。

 流暢な彼は最初断り気味だったけど、抱っこして、彼に鉄板に敷かれた肉や野菜を見せたら目をキラキラ輝かせ始めた。食欲には抗えねえな。


 そんでさ、彼の皿を準備してたんだけど、まさかの猫人族テールさんまでご来店。

 なんだなんだ、大所帯になってきたぞ。

 確か「ツナ缶詰のストックを買いに来た」って言ってた気がする……けど、俺の記憶がここまでしか無いんだよね。


 ここから先は、あとでベーさんに聞いた話だけど、以前にこの店に来たという錬金術師の老夫婦(多分タリーズ夫妻? )や冒険者(ノティスさんとかバリスタさんか? )も来たとかも言ってた。


 情けない話、みんな来たのが楽しくて深酒しちゃって……気づいたら次の日になってたのよね……。店の中に布団を敷いて、ウアさんと一緒に横になってた羽根がふわふわして気持ちよかったあー……じゃなくて、店主でありながら、こんなアホなことしちゃったと深く反省。羽目を外しすぎちゃいけないですよね。


 でも、二日酔いでガンガン頭痛するし、その日は日誌を書かずにお店休みにした。

 お昼にはウアさんとコーヒー飲んで「頭が痛いねー」とか笑ったっけ。


 ……んで、問題はその後。

 一度日誌を書かないと「次の日もいいか」ってなっちゃって、ずりずりと書かなかったんだよね。


 結果、今日まで書かなかったっていう。


 あれから新しいお客さんが来たり、年越しにはまた皆さんが集まってくれたり、いろいろあった。


 まあ何はともあれ、遅すぎる新年の最初の日誌になっちゃったけど、今年も頑張るぞ!!


 ……今年の目標は店を潰さないことだ。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

魔界の雑貨屋・経営日誌 Naminagare @naminagare

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ