mc2020.12.4 ウアさんとテールさん

 本日は、開店してまもなく猫人族のテールさんが再来店。

 この間お買い上げ頂いた缶詰を全て消費してしまったらしく、また買いに来たのだという。


 ……うっそだろ、二十缶も買って一週間経ってないんだぞ!?


 だけど本当のようで、再び二十缶を購入して頂いた。

 美味しいからドンドン使ってしまったようだけど、さすがに今回は出来るだけ抑えると笑っていた。

 う、うん。俺も売れる方がうれしいけど、出費を抑えたほうがいいと思う。


 その他、テールさんは新作のドーナツに目をつけて一個ご購入いただいたので、アイス・コーヒーを提供。その場で椅子に腰かけて美味しそうに食べて頂いた。


 また、彼女が食べている最中にウアさんがご来店……したのだけど、大問題が発生。

 ハーピーのウアさんを見たテールさんの目つきが鋭くなって、ゴクリと喉を鳴らした。なんだか嫌な予感がした瞬間、テールさんがウアさんに飛びついて。


 ―――流血大事件!!


 とは、ならず。ウアさんの背後から首筋に甘噛みして、舌でペロペロと舐め始めた。

 途端にくすぐったかったのかウアさんが、ひゃうう、なんて甲高い声を上げるし、急いで二人を引き剥がした。


 テールさんを落ち着かせてから話を聞くと、ウアさんは鳥人族でも『鳥獣』に近い存在らしく、分かっていても本能的に飛びついてしまったらしい。

 ウアさんは、仕方ないよーと笑って許していたが、これは中々……あるまじき問題な気がする。同じ魔族同士でも種族が異なる場合、こういった問題も発生してしまうのか。勉強になる。


 その後は三人で自己紹介をして、ドーナツを食べながら仲睦まじく歓談したけど、時折テールさんの瞳が鋭くウアさんに向けられていたのは……気のせいということにしておく。


 ……ウアさんとテールさんが来店される時、俺が中立を取らねば。


 あと、これは凄い個人的な話だけどさ。

 ウアさんの艶やかな叫び声、忘れるには時間が掛かりそう……。

 大事なお客様だぞ。心頭滅却せねば。

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