キミとのなにか
石川 直生
第1話 高校3年生 爽大 日向
高校三年生。部活を引退したら受験がやってくる。
高校一年生のとき出席番号が近くていつも一緒にいた。選択科目の違いで高2、高3はクラスは別れたが、朝は日向が学校の玄関で爽大がくるのを待ってくれていた。そのせいかなんなのか爽大には分からないが、二人はつきあっているとウワサされてるよ、と友達から言われた。それを聞いたとき、爽大は、は? としか思わなかったしBLなんて考えたこともなかった。
けれど、この塾の自習室にくるのも日向がいるからだし、高2のときに女子の先輩から告られてとりあえず付き合ってみたものの初日のデートで別れてしまった。楽しくなかった。疲れてしまい、なんなら苦痛だった。皆、付き合ってるんだし、なんて流されてみたけど、自分にはまだ早かったみたいだ。
高2の文化祭の日、クラスも部活も違うけど、どうしても日向と回りたくなった。そして、二人で教室を回ったり、昼に模擬店のなんかを食べたり、合唱コンクールに出たりした。なんでもないことなのに、楽しかった。
つい最近、気付いてしまった。もしかして自分は、日向が好きなんじゃないかって。もちろん友だちとしては好き。だけど、それだけじゃなくて。ラ、ブ的な意味で? まさか。だけど。どうして日向とずっといたくなる? 日向が女子と仲良くしてると見ていられない。そういえば。日向って、誰が好きなんだろう。考えたことなかった。なんか前に、電車に乗ってる子から友だちになってくださいとか、言われたって言ってたっけ。あれ、どうなったんだろう。……。なんか、いろいろ考えたら、アイツにいつ彼女ができても不思議はない。だって。ルックスは背が高くて、自分じゃ平凡な顔だって言ってるけど、つぶらな瞳がカワイイと思う。それから、いつもニコニコしてて、感じがいいし。明るくて親切で、誰からも好かれる。あれが全部女の子に向けられるとしたら。
はあ。苦しい、ツライ、一体どうしてだ。
それが、自然。日向は、可愛い女の子がとなりにいるのが合ってる。こっちは笑って、よかったなとか言わなきゃいけない? __言いたくない。よくない。俺だって日向が好き。わかってるよ。恋人とか付き合うとか、ムリだろなって。だけど。好きって言ってみたい。抱きしめてみたい。__引くだろな。
だから、卒業までは今のままでいい。けど、大学で離れちゃうなら、告ろう。もう、いいの。振られる。日向は、人に言いふらしたりはしない。そこは信じられる。だから。いまは、そばにいさせて。
河本 爽大 高校3年生。受験生。男子。身長 169cm。BMI 標準。あっさりしたカワイイ顔立ち。ソフトテニス部
© 石川 直生 2020.
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