聖夜(ホーリーナイツ)

みなはら

第1話 聖夜(ホーリーナイツ)


空の船で、

星へと漕ぎ出した。


船の荷は、

沢山の命のかけら。


船のこころであるわたしと、

船長ふなおさの彼と、


長き長き、

星の道行きを過ごす。




今日、今宵こよいは聖夜、

神が産声をあげた夜。


御子の手を取り、星照らす暗き道を、

命を背に、ひそやかに歩む。



神よ、どうかこの命を絶やさないでください。





訪れる聖夜へ、


幾つの祈りを重ねたのか、もうわからないけれど、


わたしはまた、


ゆりかごで眠る命のかけらのために祈りを捧げ、


想いをまたひとつ積みあげる。





故郷ははるか遠く、道行きは続く。




先へ、


はるか先へ。



星の海を渡りゆく。



はるか、はるか、


新たなる道を目指して。




見果てぬ先の、星への道行きを。




船は進む。


星々の光のなか、わたしは幾つもの夜の顔を覗き見る。




−◇−



― それからはるか先のこと。


漂流中の移民船が発見され、

船の制御用頭脳体の壊れた記録から、この詩が見いだされた。



記録媒体の破損は酷く、この人類ヒューマンの船の目的地や、移民計画が完了できたのかは、ついにわからなかった。


積み荷は空で、調査後に移民船は投棄された。


尚、発展期にあった時の人類ヒューマンの記録史には、この移民船のことは記されてはいない。 ―





















−あとがきのようなもの−


先日カクヨムさんで、『名刺代わりの小説10選』というのを書いたのですが、

ちょっとSFマインドが目覚めて、ストーリーを思いついたのですね。


でも、書いている時間が取れそうに無いので、

物語の覚えに、

お話に使う予定だった詩に、簡単な文章をつけたものをまとめて、ひとつの物語として出してみました。


楽しんでいただけると良いのですが(笑)


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聖夜(ホーリーナイツ) みなはら @minahara

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