第42話 ファンタジーの表現って難しい?

 素敵なファンタジー小説を書くのは、私の憧れであり目標でもあります。


「いつか、自分が納得できるような、とっておきのファンタジーを書いてみせる!」


 という気持ちで、日々、創作に励んでおります。


 恋焦がれるくらいに、こんなに惹かれているというのに何故私は、最初からファンタジー作品を書かなかったのでしょう?


 漫画なら以前、SFとかファンタジー作品を、描いたことがあったのですけれど。


 多分、ファンタジー世界を描く難しさを、本能的に感じ取っていたからかも知れません。


 小説界のヒヨッコが、何を恐れ多い…! みたいな感覚になっちゃうんですよね。


 自分の考えを文章にして『お試し』感覚で表現してみるのは、比較的簡単なのかも知れません。


 おおお、思ったよりも順調に書ける。


 へぇ、やっぱり面白い!


 ふむふむ、こうなるのか。


 という感じで、純粋に楽しめます。


 でも基本が出来ていないと、作品って後々、大きな粗が露呈されます(笑)。


 やってみるうちにそれが段々理解出来てきて、途中から唸ってしまうものなのかも知れません。


 私の最大の欠点は、世界全体の構築や作中においての、その世界設定の説明に当たる個所の表現だと思います。


 勉強が全然足りていなかったという事実を、書いている時の感覚で痛烈に感じるのですよね。


 政治や経済についての基本的な勉強が疎かなままなので、自分が書くファンタジー世界において、それらの表現が出来ないまま物語が進むことになっているのを感じます。


 地図も苦手だし、視覚的分野への興味が薄いので、表現する上でそれらが暴露されてしまいます。


 あと、基本的な語彙力の無さ(笑)。


「あ。この人また同じ言葉や表現使ってる。頭悪いのかも知れないね」


 と、厳しい読者の方には、思われているのかも知れません。


「私なら、こう表現するんだけどなぁ」


 みたいに感じてもらえるのは、嬉しいですけれど。


 だからファンタジー小説を書く直前になって、慌てて必要個所の勉強を始めなければならないという(笑)。


 そちら方面にも、時間とパワーを注ぐ必要性が出てきてしまうのですね。


 技術的な面でも一定基準の『基本中の基本』に到達出来ていないと、完成度の低さが丸わかりになっちゃう。


 簡略化された技法の『絵』や、有名な音楽などにも、それが当てはまる気がします。


 技術的なものを盗んでただ模倣するだけなら、すぐに出来ちゃう人が多いわけで。


 模倣者が本当の意味で、何が人の心を打ったのか打たなかったのかに気づけなかった(?)場合は、『本物』を知るファンの心には響かないでしょうし、それがただの模倣であることはすぐにバレてしまいます。


 その作品の奥深くのどのあたりに作者様の魂が込められており、莫大な労力と時間がつぎ込まれているのか、という事に気づくことさえ出来れば、模倣している人の作風もガラッと変わるのでしょうけれど。


 歴史に名を遺す偉大な画家の方々は、ただ色を重ねて塗りたくっているわけではありませんよね。


 デッサンなどの『基本中の基本』がきちんと出来ているからこそ、簡略化された表現が人の心を打つ。


 キュビスムなどは簡単そうに見えますが、多面的に見える表現方法によって、背景にある歴史的事実や当時の人々が感じた『想い』などを、絵を通して伝える事によって、見ている人の感覚を引き出そうとしています。


 画家にしても音楽家にしても小説家にしても、最終的には心揺さぶられるものを『伝えたい』一心で創作に取り組んでいる方が多く、ご鑑賞いただいている方々にただ、『第一印象』だけを聞きたいわけでは無いのですね。


 小説は『物語』なので、創作するからには冒頭からラストまでをぶっ通しで読んでもらい、その上で何をどう感じたのかを、私としてはお尋ねしてみたいです。


 言いたかったメッセージが、ちゃんと伝わったのかを。


 それが…………そこまでたどり着くのが、まぁ長い長い(笑)。


 私が死んでから、いただけるお言葉もあるのかも知れません。


 ファンタジーやSFって結局のところ、読者様から歩み寄っていただかなければならない部分が多いわけで。


 その世界にどれだけ入り込めるのかについても、読者様の想像力や読書量、『ファンタジー好き』なのかどうかにもよるところが大きいのですね。


 現実世界なら容易に想像がつく内容も、ファンタジー小説の場合は、読者の方にどう想像していただくのかに、作者の力量が問われます。


 書くのは難しくて面白いのですが、以前みたいに「読んで読んでー!」と感想を片っ端から聞いて回る事が出来ないのもファンタジー(笑)。


 リアルの友人や家族で、ファンタジー小説好きな人ってほとんどいないです。


 いたとしても、既に今は別な何かに夢中になっていたりして、お願いしづらかったりしますね。


 だからこうして、WEB小説にして表現させていただいており、ファンタジーが大好きなどなたかに、発信させていただいてるわけで。


 偉大なるファンタジー作家の皆様。


 作品を通してメッセージを発信する事は出来ても、コミュニケーションを取るのはなかなかに難しいですね。


 でも、やはり伝えてみたいから、私も同じ舞台の端っこで、地道に少しずつ頑張っております。


 誰かの心に何かが伝わるのって、とても嬉しい事ですもの。


 長い長い道のりですが、莫大なエネルギーが必要な分野ですが。


 心から、皆様を応援しておりますね!

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