第18話 私って、生きてるんだ!

 生きているって、奇跡のような出来事だと思うんです。

 

 そもそも自分がこの世にいる事自体が、ラッキー以外の何ものでもないと、いつも感じています(笑)。


 以前にも話しましたが、私は小児喘息を患っておりました。

 

 呼吸困難で脳に酸素が回らなくなったのか、頭が割れるくらいの頭痛を併発し、意識が朦朧とするような発作を、頻繁に起こしていました。


 両親は「この子は二十歳まで生きられないんじゃないか?」と、本気で心配をしてくれていたみたいです。 


 でも、必死で生きているうちに、徐々に体が丈夫になってきました! 


 お茶碗一杯のご飯を全部食べられるようになったのは、小学校三年生くらいの頃でした。


 発作が全然起こらない。


 なんて楽なんだろう!


 なんて幸せなんだろう!


 なんて嬉しいんだろう!


 ……こんな感じでした(笑)。


 私にとってはこの『普通の生活』が、信じられない奇跡ともいえるくらい、幸せな出来事だったんです。


 友達と約束して、好きな日に好きなように、遊べる幸せ。


 学校へ行ける幸せ。


 漫画を読める幸せ。


 散歩ができる幸せ。


 テレビアニメを観る幸せ。


 ゲームができる幸せ。


 自分ひとりで好き勝手な妄想を、繰り広げられる幸せ。


 食べたいお菓子を、自由に食べられる幸せ。


 最後の最後までそこに『勉強ができる幸せ』が入らないのが、私らしいですね(笑)。


 世界の色が変わりました。


 鮮やかにカラーとなって、私の目に飛び込んできました。


 そんな小三の、ある日のこと。


 お天気がとても良かったので、私は家の近所を一人でうろうろ、散歩していたんですよね。


 その時、急に嬉しさがぞくぞくと、全身を貫きました。


 わぁ……。


 なんだろう、この気持ち。


 ぞくぞく、ぞくぞく。


 溢れ出てきます。


『自分は生きているんだーー!!!


 生きているんだーーーーー!!!


 生きているんだーーーーー!!!』


 こんな感覚でした!


 本物の『前向きな気持ち』や、普通に遊べる嬉しさや、普通に過ごせる有難さなどが、『その瞬間』一斉に、自分の奥深くからゴゴーーーッと沸き上がったのだと思います。


 急いで家に帰り、興奮しながら母に報告しました。


「私ね、生きてるの!今、生きてるのが嬉しいの!嬉しいんだよ!!」


 すっかりハイテンションでした。


 何を言っているのかわからなかったと思うのですが、母はそれを聞くとゆっくり頷いて、ただ優しく笑ってくれました。


 その時の気持ちは、生涯忘れられないと思います。


 創作をしたい!!!

 と感じたのも、その頃からです。


 誰かと出会えて、色々な感情を教えてもらえて、すごく幸せ。


 好きな人と何気ない事で笑いあえて、色んな話を聞かせてもらえて、自分の話を聞いてもらえる事も、幸せ。


 こっちに行きたいけど、思いがけずあっちに行っちゃうことも、本当は幸せな事なのかも知れない。


 楽しい事を見つけ出してみせる!と、メラメラ燃える事も幸せ。


 物語を考え出せることも、幸せ以外の何物でもありません。


 毎日、目が覚めてから思います。


「今日は何をしようかな?」


 全て自分で選んで、考えます。


 だって、もったいないからです。

 

 その日何をするのかという決定権は全部、自分にあるんですから。


 自分の『夢中』は必ず、自分で見つけ出してみせます。その権利だけは、誰にも渡したりしません。


 毎日姿を変えるけど。


 世界に起こる様々な出来事にも、大きく動かされてしまうけど。


 リセットできませんけどね。


 生きていれば、こっちのものです。


 命さえ取られなければ、どうにでもなります(←この素敵な言葉は、困難だった仕事に立ち向かう最中、私が最近までお世話になったある方から、かけていただきました)。


 何があったってこの気持ちひとつで乗り越えて、人生最期の日を迎えた時に、笑ってやりたいと思っています。


 私はちゃんと『夢中』で生きたよ!


 いつも笑顔で、幸せに過ごせたよ!


 沸き上がるフワフワを、いっぱいキャッチして楽しんだよ!


 まだまだやりたい事たくさんあるけど。キリがないからまぁ、いいや。


 ここいらで勘弁してやるか。


 この溢れる想いを、色んな形にすることができたんだから。


 もう、これで充分。


 って、言えるといいなぁ(笑)!


 こんな風に思えたらいいな。


 大好きな人たちよ、大好きな世界よ、本当にどうもありがとう!!


 そのままお返しできないから。これからは私が生み出せる全てのものを、ギフトにして贈りたいと思います。


 言葉も。


 まなざしも。


 笑顔も。


 作品も。


 抱擁も。


 キスも。


 応援も。


 だから元気出してね!


 弱い心に、負けないで。


 ずっとずっと、大好きですよ。


 私と出会ってくれて、心から感謝しております。


 生きているというこの奇跡を、私は決して忘れません。


 どんな事があったって、立ち向かう力を生み出す事が出来ますように。


 いつも幸運を、感じていられますように。


 素敵な『夢中』を、見つけ出せますように。


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