第9話 『魅力』には要注意!

「私って『恋多き女』?」


 って、悩んだ時期がありました。

 それはじふちゃんの、少女時代。


 今回、恋バナではないんです。


 私が人の『魅力』に引き寄せられやすい、というお話なんですよね。


 自分自身のことがよく分からない時は、疑問が増えるばかりでした。


 『初恋』めいた気持ちを体験したのは、小学校3年生の時です。


 同じクラスのA・M君だけが、いきなり輝いて見えたんですよ。


 別に仲が良かったわけでも、彼から優しくしてもらったわけでも、遭遇する機会が多かったわけでもありません。


 なのに何故?


 思い当たることは何?!


 クラスの中で、彼がとても目立つ存在だったからでしょうか。


 明るくて活発なスポーツマンタイプで、彼が当時は大人しかった自分とは真逆の、大きな声ではっきり喋る男の子だったからでしょうか。


 何だか良くわかりません。


 困ったことに。


 彼に近づいただけで、心臓がどきどきしてしまいます。


 言葉を交わす機会があったとしても、うまく話せなくなってしまいます。


 家に帰ると、彼の事ばかり思い出してしまいます。


 9歳のじふちゃん。

 友達に相談するするー。


「この気持ちってなんだろー?」


「あー、それは恋だよ!じふちゃん」


 おませな友達、ずばっと解決!


 そっかぁ。

 これが恋か!


 恋って、つぶつぶイチゴ?

 恋って、すっぱいミカン?


 こーんな気持ち??


 ……その時は、それで納得。


 でも。こういう経験が、私には数えきれないくらいありました。


 えー。


 これって何?

 勘弁してよー。


 すぐ顔が赤くなっちゃうし!


 意識しちゃうと、うまく話せなくなっちゃうじゃん!


 転校を繰り返して元の街に戻った時に、再会した優しい幼馴染に、いきなりときめいた事もありました。


 隣の席になった学年一の秀才さんに、キュンキュンした事もあります(風の噂によると、その方は東大に入られたそうです)。


 趣味の話で盛り上がった1学年下の、可愛い後輩男子が気になって仕方なかった事もあります。


 玉砕でしたが、そのうちの一人には、(電話で呼び出して)自分から告白した事もありました。


 今にして思うと、それらはアイドルに憧れる気持ちと同じでした。


 だって納得できないですよ。


 彼らの雰囲気に、惹かれてるだけってことでしょ?


 ちょっとしか話をした事が無いのにどうして、どきどきしちゃうのー?


 それらがようやく本物の『恋』では無かったんだと、自分なりに解決できたのは、ずいぶん年を取ってからでした。


 創作を再開した時の事です。


 最初は恋愛ものを書いていたので、こう思いました。


「カッコいいアイドルのお兄さんたちはイケメンぞろいなんだから、アイドルに夢中になって、キュンキュンを取り戻そう!」


 うう。

 おバカ丸出しの発想(笑)!


 そもそも『夢中』は自然とそうなっちゃうもので、なりたくてなれるものじゃ、なかったんですけどね。


 早速。


 当時の、超人気アイドルグループのテレビ番組を追っかけました。


 さらに、その後輩グループの一人がすっごく可愛かったので、そのグループのファンクラブに入って、コンサートに行ったりもしました。


 なかなか楽しくて、最初は夢中になれたんですよ。うちわに「大好き」っていうシールを貼ったりしてね(笑)!


 みなさん、超イケメンさんです!

 目の保養になってくれて癒される!


 コンサートに行く前などは、私のおバカな趣味に付き合ってくれる優しい友達と一緒に、カラオケで盛り上がったりして、テンションMAXになれちゃいました。


 でもすぐに冷めちゃいます。

 なんでなんでー?


 どうも、その理由とは、今のアイドルの方々がバラエティーをはじめとする、数多くのテレビ番組に出演されている事が、原因のようなんです。


 あくまでもこれは、私の場合に限りますが。


 大昔みたいに、コントやドラマや歌番組だけに出ていて下さればまだ、良かったんですよね。


 コンサートは大好きなんです。

 カッコいいから。王子様だから。


 ドラマやコントもいいんです。

 演じていらっしゃるだけだから。


 でも、バラエティーはNGです。

(繰り返しますが、私の場合です)


 そのアイドルさんの『素顔』が、見えてしまうから。


 夢に出てきて欲しくなる、カッコよく歌って踊れるアイドルのお兄さん達は、私の『理想通りの王子様』でいてくれなきゃ、嫌だったんです。


 『理想』を外れてしまうと、とたんに冷めてしまう。


 それって恋じゃないですよね。


 『恋』に恋する気持ちです。


 もっといえば。


「この人の雰囲気は、自分が書いている作品の『○○君』のイメージ!」


 って、当てはめる気持ちに、近いんですよね。


 考えてみれば、『創作をしたいから』『恋みたいなキュンキュンを取り戻したいから』という不純(?!)な動機が発端です。


 あ、それってもしかして。


 今、私が夢中になっている『声優さん』にもいえる事だし、昔好きだと思っていた男の子たちに対する気持ちも、大体はこんなドキドキだったよなー。


 素敵な女の子に、ドキドキを感じたこともあるし。


 女性のアイドルにも、ときめいた事があるし。


 そっか。


 あれって、本当の『恋』じゃなかったんだー。


 んじゃ、なんだったんだろ。


 取りつかれただけ?

 ……彼らの魅力に?


 夢中になりたかっただけ?


 ただそれだけの事?


 一旦気になっちゃうと、やっぱり知りたい。


 話しかけたいし、色々聞かせてもらいたい。


 恋とは違うとハッキリわかったのは、本物の『恋』をちゃんと知ることが出来たせいもありますけどね。


 魅力的なみなさーん。


 どれだけ『夢中』をくれますか?


 なんてねー!

 


 



 

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