第2話 WEB小説の魔力

 どうしてこれほど、小説を書く事に夢中になってしまったのか。


 どうして『自作小説を完結させる』という願いが、叶ってしまったのか。


 その最大の要因は、今取り組んでいる分野が『WEB小説』だから、だと思うんですよね。


 魔力ですよこれは。


 だって。


 今感じた事、今浮かんだこと、今表現したいこと。


 それらをパッと掴んで、ガーーーーッと形にして。


 エイッ!! 


 と投稿できてしまうんです!


 どこかの誰かに、それが瞬時に伝わるかも知れない。


 ひと昔前だったら、考えられない事です(笑)。


 勢いで、できてしまいます。


 エイッ!! が。


 当然、きちんとラストシーンまで作品を仕上げて、全ページきちんと推敲して完成度を上げてから、毎日1ページずつUPされる方も多いと思います。


 私もストックを10話前後(もっと?)作ってから、何度も最初の方を振り返って手直しをした上で、作品をWEBに公開していました。


 最初の5作品は。


 でも、(今現在)最新作となる『銀河・アシンメトリー』は違います。


 WEB小説じゃ無ければ、決して生まれなかった作品なんです。


 この作品は、遠い昔に友人二人と一緒に作った世界がベースになっております。キャラクターや(ラストシーンまでの)ストーリー構想を、書き始める前に自分なりにしっかりと決めていました。


 しっかり決めすぎたせいなのか?


 冒頭が書けなくなりました。


 ま~た悪い癖が出てしまいました。


 あ~でもない、こ~でもない。


 この女の子の名前と外見は、もしかするとこっちにした方がいいんじゃないのか?! とか。

 

 アイツが企んでいる事は、実はこうこうこういう理由に変えた方が、面白くなるんじゃないのか?! とか。


 だったら冒頭は、このシーンから始めた方がいいんじゃないのか?! とか。


 キリが無い。こ~なっちゃうと。


 まぁ、夢中でやっている事なので、楽しい作業ではあるんですけど。このままじゃ~いつまでも始められな~い、と気づきまして。


 ……やっちゃったんです。


 その時に思いついた冒頭シーンをいきなりWEB上にUPして、とりあえず始めてみよう!!


 という暴挙に出たんです(笑)!!


 つまり冒頭からストックゼロです。


 1ページを2000文字前後にして、できるだけ毎日UPする事を目指していましたから、次のページの構想は次の日に考えるわけです。


 今考えると、どうしてこんなに恐ろしい事が出来たのか……冷汗が出そうになりますが、事実です。


 でも、この作品に関してだけ言えば、成功でした。


 あ~あ、公開しちゃった!


 もう後戻りできないぞ!


 お、思ったよりたくさんの読者様が読みに来て下さっている~(汗)!


 さ、さぁ、このページの続きを考えよう!


 という具合にですね。


 勢いで始めて、後戻りできなくしちゃう。


 あとは書くしかありません。


 結果として浮かび上がった欠点は、やはり全体のバランスでした。


 この作品は『第7回角川文庫キャラクター小説大賞』に応募するために書き始めたので、規定である16万文字以内にしようと決めていたのですが、私はその16万文字という文字数が、途方もない長編のように感じていたのです。


 ところが。


 自分でとっくに書いていました。『いきなり図書館王子の彼女になりました』は、17万文字を超えていたんです。


 バカな私は『銀河・アシンメトリー』を書き始める前に、その事に気づいていませんでした(笑)。一度、確かめれば良かったのに。


 はじめての長編なんだから、多少キャラが多くても大丈夫だろう。


 最初のシーンから中盤に至るまでは、このくらい主人公を動かせば大丈夫だろう、という感じで。


 色々ぶっつけ本番でしたが、序盤は書きたいように楽しく夢中で書けました。


 でも、中盤からラストにかけては伏線回収にも追われ、一番苦手とする描写に力を注ぐことが出来なくなりました。


 登場させたキャラクターの中で、ほとんど活躍できなかった子もいます。


 文字数が足りないのが気になり、自分の中で焦ってしまったんですね。 


 応募するのをやめて自由に書こうかとも一瞬思いましたが、そうするとまた、今までの雰囲気とはガラッと変わってしまうでしょうし。


 どうにか、159995文字にして完結させました。


 とにかく最後まで書ききるんだ、という意地で仕上げました。


 書き終わった後、それまでの様な大きな喪失感は感じませんでしたが(笑)「この作品を書き上げた!」という達成感は、他のどの作品の時よりも大きかったです。


 欠点を数え出したら、キリが無い作品です。でも苦労して生み、しっかりと育ってくれた子供には愛情が湧きます。


 育てるのに苦労した分、親である自分もひとまわり大きく成長できたように思えます。


『自分にしか書けない小説を、ようやく書き上げられたんだ』


 この作品からは、この様な清々しい気持ちをもらいました。


 出来るなら、いつかこの作品の続きを書きたいと思っています。その時は少し、足りなかったシーンを追加したり手直しを加えたりして、もっといい作品に変身できるように成長させてあげたいですね。


 『銀河・アシンメトリー』はこうして誕生しました。


 読みに来てくださった方、感想を残して下さった方。


 ご意見を伝えて下さった方。


 思い入れがある箇所を、包み隠さず打ち明けて下さった方。


 これを読んだ後に、「えー?! こんな書き方をしたの?! ……でもまぁ、ちょっと気になったから続きを読んでみようかな」と思って下さった方。


 本当にありがとうございます!


 私はこの作品を愛しています。

 何しろ、夢中で書きましたから。


 全ては、『WEB小説の魔力』のおかげです。


 心から、感謝の気持ちでいっぱいです。


 


 





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