202011 ジャパロボ 63

渋谷かな

第1話 ジャパロボ63

「はい。地球国電話相談室です。」

 地球国には全地球人から悩み相談を受け付ける部署が設けられた。

「あの、どうして、お空は青いんですか?」

 もちろん小さな子供からの電話相談も入ってくる。

「えっと、それはなね。お嬢ちゃんの心の色が青いからだよ。」

 電話相談のお姉さんが丁寧に答える。

「お姉ちゃん、ありがとう! アハッ!」

 子供は大満足であった。

「良かったね。アハッ!」

 お姉さんも大満足であった。

「バイバイ。」

「バイバイ。」

 こうして電話は終わった。

「ふう~、ジャパロボに乗って戦っていた頃が嘘のようだ。」

 地球国電話相談室長、前田みなみ。彼女はコールセンターで責任者をやっていた。

「みなみ様、ロマンチックですね。」

「ゴホン。子供の夢を壊したくないだけだ。」

「でも元テロリストが子供たちの夢を守る仕事をしていていいんですかね?」

「悪いことをしたり、人生で失敗することはある。でも、そこで人生は終わりじゃない。何度でもやり直すチャンスはある。だから人間は生きていけるんだ。」

「カッコイイ! みなみ様! どこまでもお供します!」

 反大日本帝国同盟ジャパカイダのみなみ、敦子、まゆ、由紀は、コールセンターにかかってくるクレーマーの話に耳を傷めて過去の罪を反省していた。

「さあ! 次の電話は何かな?」

 テロリストをやめて社会人として普通の人間の暮らしをしていた。


「ご卒業おめでとうございます! 麻理子さん!」

「ありがとう! みんな!」

  月日は流れ高校3年生だった麻理子は卒業式を迎える。もう卒業証書もデジタル化して無くなっているのかもしれない。

「私が卒業できるのもみんなのおかげよ。」

 麻理子は戦いの中で一度死んだ。しかし科学技術の進歩で体を再生し、記憶を再生し、何事も無かったように普通に暮らしている。

「麻理子さん、おめでとう。」

「おめでとうございます。」

 盛大に祝福するさとみとすず。

「おめでとう。」

「おめ。」

 素っ気ないイリスと優子。実は照れくさいだけである。

「祐奈教官が目を覚ましたら見れるように撮影しておきましょう! アハッ!」

 久美は麻理子の晴れ姿を動画に収める。

「やったー! これで隊員が増える! 祐奈教官の介護って、私一人では大変なのよね。寝返りを打たせないといけないから。アハッ!」

 麻衣と久美は寝ている祐奈専属の介護ヘルパーになっていた。

「みんな! これからも仲良くよろしくね!」

 高卒の麻理子の就職先は皇帝専属の介護ヘルパーだった。

「麻理子さん、介護なんて大変な仕事よ。本当にいいの?」

「はい。祐奈教官は私の大切な上官ですからね。アハッ!」

 麻理子は大切な仲間たちがいることに幸せを感じていた。

(私には、こんなにも大切な仲間がいる。私はなんて幸せなんだ。)

「みんな! ありがとう! みんな! 大好きよ!」

 卒業式のヒロイン麻理子は人生で一番の幸せを感じていた。 

 つづく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

202011 ジャパロボ 63 渋谷かな @yahoogle

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る