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 窓。きらきらと、光る。

 空。

 彼が反射させている、携帯端末の光。


「必殺、携帯流れ星」


 後ろを向いたら。


 彼が、必死そうに手に持った携帯端末を振り回して動いている。


「見てこれ。流れ星みたいだよ。ほら。みてみて。窓のところ。ほら」


 彼の動きが、あまりにもぐちゃぐちゃで整合性がなかったので。ちょっとだけ、笑った。


「あ。笑った。うれしい」


 彼も。笑顔になる。


「終わりにするって話」


 彼。携帯端末を動かすのをやめて。


「わかった。もう、終わりにしよう」


「うん」


「好きだったよ。いまも好き」


「うん。わたしも」


 お互いに。好きだけど。

 やっぱり、恋は終わる。学生に人気の漫画みたいな、好きだから結ばれるみたいな展開は。現実には存在しない。


 ひとつの恋が、終わった。


 彼の携帯端末。少しだけ、動く。


 窓の外。星が、流れた気がした。

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