”仙術”本選~”繋がり”~

「ニーナ殿、すまない! 吾輩わがはいの力が及ばず、勝利をマークス殿に捧げられなかった……」


「そんなことないわよ! 立派、! さすがは! あと、ニーナちゃんだけ名前で呼ぶなんてズルい!!!」


 俺に負けた後、わざわざ予選組コチラ側の方に来てまでニーナに頭を下げるテスラの姿が在った。

 その後ろを付いて回っていたジェーンも来ていて、非常に賑やかだ。




「ふん! パパに勝利を捧げるのはニーナで、やがります! テスラには期待してねぇ~で、ごぜーます!」


「…………そうだな……。吾輩わがはいは駄目だな……。恩に対して、何も報いることが出来ない」


「ちょっとぉ!? そんな言い方って、無いんじゃない!?? 良いのよ、テスラ! アタクシは認めてあげるんだから! あと、名前で呼んでくれると満点あげる!!」






「……でも、パパは。きっと、テスラのことを褒めると思いやがります。頑張ってたで、ごぜーます!」


「ニーナ殿!」


「ちょっとぉ!? 無視しないでよ!! ”ジェーン”! ”言ってセイ”! ”ジェーン”!!!」






 ーーーーーー






「タイチ師父シーフー、どうするんですか!? あの”九尾ジゥウェイ”のシロには、【雷海レイハイ】が必須になるでしょう! しかし、それだと!!?」


「ウチの国の姫様に勝てないと、まあ。ウチの息子は自分が負けたのに、タイチの心配ばかりしてる始末だ」


 ヤーとフェイ・ランの親子が、我が事のように俺の残り仙力シィェンリーの心配をしている。

 シロに【雷海】を使えばシーに【神技シェンジー】級の対抗手段が無くなり、逆に使わなければシロには勝てないと思われている。




「失礼しちゃうナ! ウチが勝ち上がって、タイチと戦うかもしれないダロ!!!」


「そうだ。シーが、いくら強くても勝てるとは限らないだろう。決勝の相手が決まる前にする心配じゃない」


 二人の心配をトウコツが抗議し、不本意だが俺も同意だったので同じく抗議した。




「トウコツ。お前さんの”適性”は白虎パイフー様と玄武シェァンウー様だろう。いくら神、悪神だろうと”仙術”では不利だぞ。、次の姫様は無理だ」


「そうです。、次のシー様には絶対に勝てませんよ」


 またも二人の意見が一致していた。

 不思議な事にトウコツがポンチャイに、という意見で。






 ーーーーーー

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 ーー


 ー






 ーー朱雀ヂゥーチュエの部ーー






「ポンチャイがトウコツに勝てない理由が、よく理解が出来たよ……」






「アハハハハハハ! 待て待てぇ!」


「来るなぁ! われに近づくなぁ! を投げてくるな!!!」


 見る人が見たら、浜辺でイチャつくカップルのように見えたかもしれかったが、その実は悲惨極まりないモノだった……。




「仙力は”繋がり”だ。”属性”なら特にな。ポンチャイの奴のように、おのれと繋がる”影”で色々してくる戦法と【呪い】は相性が悪すぎる」


「言うなれば、舞台の上の全てが”的”ですからね。完全な飛び道具として”影”を使ったのなら、話は変わりますが。ポンチャイ殿も白虎様と玄武様の”適性”持ち。”影”を完全に切り離して使えないから無理ですね」


 野球ボールの大きさの【仙弾シィェンタン】に【呪い】を込めた【呪弾ヂョウタン】を生み出し、投げつけてくるトウコツの”仙術”での戦法。

 触れれば【呪い】に掛かるので、”影”を広げずに必死に逃げているポンチャイであったのだ。




 逃げている理由が分かれば砂浜でイチャつくカップルが、ゴリラにウン〇を投げつけられているようにしか見えなくなってくるから不思議なモノだ……。






「捉えたゾ!」


 ついに追い詰め、【呪弾ウ〇コ】を至近距離から確実に当てようとした刹那!



「万が一にもポンチャイが勝つには、手段が無い訳じゃないんだがな。単純に、【呪い】に触れる前に倒せばいい」



「いつまでも! われが逃げてばかりだと思うなよ!! 【影牢ナイトメア】!!!」


 ポンチャイの真下の”影”から無数の杭が、”影”で出来た杭がトウコツを串刺しにしようと伸びる!!






「なんの! これしき!! だゾ!!!」


 数本が身体に食い込もうとも砕き、へし折った杭が刺さったままで平然と、【呪弾〇ンコ】を投げつけ続けるトウコツの姿が在った!!!



「__だか、単純に頑丈過ぎる。アレを一撃は、ポンチャイの攻撃力では足りないのだ」


 哀れ、ポンチャイは〇〇〇まみれに!!!






 __『勝者!! トウコツ!!!』




 勝ち名乗りを受け、【呪弾】と、を【不死】で癒した分の仙力が、トウコツの”球体”から失われる。




「タイチ師父シーフー、ポンチャイ殿がトウコツに勝てない理由と結果は、ご理解していただいたと思います。次は、シー様にトウコツが勝てない理由が理解できると思いますよ」


「……ん? あ、ああ」


 ちょっと考え事をしていたので、少しうわの空の返事になる。






 ーーーーーー

 ーーーーー

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 ーーー


 ーー


 ー






 ーー玄武の部ーー






「トウコツがシーに勝てない理由が、よく理解が出来たよ……」


「お~お~。ウチの姫様は容赦が無いねぇ」


「多分ですが、タイチ師父シーフーに自分の戦法を見せているんでしょう。公明正大な方です。予選から疲弊し、戦法を明かし続けたタイチ師父シーフーと少しでも公平に戦いたいと」






 自身を”火”の、”炎”の壁で守りつつ、周囲から”炎”の矢や槍を機関銃マシンガンのように撃ちだすシーの姿が在った。


「まさしく”殲滅ジィェンミィェ”皇女様だな」


 その二つ名に恥じぬ、圧倒的な”仙術”長年の優勝者であるシーの姿に、しばし言葉を失っていた。

 確かにコレならトウコツは近づく間もなく、焼き尽くされて負けるだろう。




「あはは! いやいや、どうして。これはこれは」


 おそらくだが、ケイオスには青龍チンロンの高い”適性”が有るのだと推察できた。

 圧倒的な火力で飛んでくる攻撃を、【乱流ルゥァンリウ】で逸らしながら何とか逃げ回っている。



「なかなかどうして。ケイオスとかいう若造、やるじゃないか。ま、それもココまでだがな」


「タイチ師父シーフー。シー様が”殲滅”と呼ばれる由縁が!」


 ヤーとフェイ・ランの二人が指差す先、上空に目を向ける。




 シーとケイオスの頭上の”球体”のさらに上。






 太陽の隣に____!!!??






 ーーーーーー






「素晴らしい攻撃力。素晴らしい。いくら逸らしたとしても、無駄でしょうね」


 観念したのか、ケイオスが脚を止めて”小太陽”を見上げる!






「【殲滅ジィェンミィェ】!!!」


 小さいと言えど、巨大な炎太陽が信じられない速度で落下を始める!!




 轟音と共に狙ったモノだけ、当たったモノだけを焼き尽くす紅蓮の”炎”に包まれた!!!






 弾かれるように、”炎”の中から一直線に場外の壁まで叩きつけられたケイオスの姿!!!




 __『場外! 勝者!! グゥァンウー・シー様!!!』




「おおおおお!!! お強いんですね! ”球体”が砕け散るのでなく、したのは久し振りです!!!」


 シーがケイオスの強さを褒めたたえていた。

 確かに”仙術”でのシー相手に、負けること自体が難しいように思える。






 それを証明するように、ケイオスの両腕や身体の至る所が____だったのだから。






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