認められた者
勝つには勝ったが、
お互いに
以前に使った【
「確かに
そういった意味での
こういう小難しい戦い方が、年季のある俺の経験と【武道】に有利に働いたおかげで、俺の術中にハマってくれたのだ。
いまだに気を失ったままのフェイ・ランに対して、賞賛を送る。
「タイチ殿。娘、クゥイを助けてほしいという私の”願い”を叶えて頂くばかりか。クゥイの無茶な”願い”を叶えるために尽力して頂いて、なんと御礼を述べたら良いか……」
領主のシュが、”
前のように、中空に無数の”媒介”を浮かび上がらせ、数個を俺への礼として贈るつもりらしい。
「お願いだから、立ってくれ。今回の礼なら、すでに受け取っている。
「ですが、タイチ殿。前に渡したのを含めて、”媒介”を2つも使ったではありませんか」
断る俺に驚いたシュが、出費に対しての
「最初の段階で、トウコツの存在に気付いていたら無かったかもしれない出費だ。
再度の申し入れを、自分の失態から来た出費だと言って、断らせてもらった。
ーーーーーー
「ならば、せめて”等級”の昇級をさせてほしい。”2つ名”が許される特級を打ち破ったのです。タイチ殿に特級と”2つ名”を」
「相応しい功績や特徴あるじゃん。タイチ様の”2つ名”は、”お節介焼き”!!」
断ろうとしていた俺を止めるようにガンちゃんから、”二つ名”の候補が挙げられる。
「フフーン! 偉く賢いボクが、タイチさんの”2つ名”を考えてあげましたよ! ”頑固者”か”浪費家”、ですね!!」
同じくシンから、一つ間違えば悪口にしかならない候補が挙げられる。
「ガンガンもシンも分かってませんね! タイチさんは
自信満々に、俺のことを一番に分かっているという風に小さな胸を張って、主張するリウ。
確かに青龍の”迷い人”である俺の”二つ名”を付けるのは、青龍の精霊であるリウが一番ではないかと思っ___
「タイチさんの”2つ名”は……”
___ていたが、却下にすることにした。
何だ、その
ーーーーーー
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
ー
「アッハハハハハハ!!! いいゾ! いいゾぉ!!!」
弛緩した空気が流れる中、今回の全ての元凶、悪神”
「ウチの
興奮を隠しきれないように、笑顔で、常人とは思えない、狂った笑顔で、ゆっくりと近づいてくる。
「オマエの名は、タイチだったな。とりあえず、礼を言おうか。オマエという
シュが不用意に発言した際に危害を加えようとしたので、誰も何も言えず、その歩みを止める者が存在しないことを良いことに、ゆっくりと俺に向かって歩いてくる。
「ウチを殴り飛ばした時やフェイ・ランとの最初の攻防の時は、実に合理的な動きだった。だが、最後の方は不合理な動きが有ったナ。しかし、意図を感じる動きだった。【武道】は奥が深いな」
俺の目の前に立ち、少女の姿をしたトウコツの”
「今すぐ俺と戦う気か?」
「
そう言う割には、俺を覗き込むのを止める気配が無いように感じる。
「この”現身”が女の姿なのはナ。ウチとの戦いに敗れた者達が、
てっきり、戦った相手は再起不能にしていると思っていたが、道楽の為でも生かすことが有るらしい。
「難点は、常に【実体化】しているせいだろうナ。精神が肉体に引っ張られることダ。本来、ウチに性別は無い。長いこと”現身”のせいで、性格、嗜好、好みが”
何を言い出しているのかと、考え込んで___
「っプハァ! つまりは、
___いたら、頬に口づけをされた……。
「ウチですら未知の【武道】を使う、強き男、タイチよ。お前が欲しくなったゾ。これは
ーーーーーー
「ツァンちゃん____パーーンチ!!!」
俺の前方、トウコツの居た位置あたりから、前方に向けて巨大なクレーターが出来ていた。
ミサイルでも墜ちて来たのかと驚いていると、俺達を心配して来たツァンがクレーターの先、
「コラーー!! 男の人に無理矢理、キスしたら駄目だお!!! ……ツァンだって、まだなのに……」
「アッハハハハハハ!! タイチを喰おうとすると、前菜が付いてくるのか! ますます、オマエが欲しくなったゾ! タイチよ!!」
ツァンによって、
「オマエの【武道】に敬意を表して、このまま去ろう。再会の日まで、壮健で居ろよ!! タイチ!」
トウコツが去り、少女の”病”を治すだけだと思われた一連の事件が、こうして幕を閉じる。
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