五級・対・特級
「
神の戯れとしか思えない
拒否権などは無いと、クゥイちゃんの命を人質に提案される。
俺もフェイ・ランも戦うことを覚悟したことを、お互いの瞳を見るだけで確信する。
「申し訳ありません。部外者のタイチ殿の、クゥイお嬢様を助けて、救ってくださろうというタイチ殿と戦うことになってしまって。恩人のタイチ殿の命を奪ってしまうことになるかもしれないとは」
「謝るな、フェイ・ラン。これは俺の”
軽口を叩きながら、お互いに笑いあう。
フェイ・ランと共闘すれば、トウコツの”
「
ガンちゃんが言うように、願う【呪い】を行使した時点で”願い”は
その身をもって、悪人達はトウコツの【呪い】が成功であったことを実感していることだろう。
「……止めて。……クゥイのために。……ランや……タイチ
「クゥイ!? 駄目じゃないか! 寝ていなさい!!」
トウコツの乱入と、俺とフェイ・ランの決闘騒ぎに、シンの【
「トウコツ。戦いが終わって、俺が生きているとは限らない。戦いの前に、クゥイちゃんを治してきていいか?」
「逃げさえしなければ好きにするが良い。生き死にの戦いを前に”弱体化”したいならな。言ったはずだゾ?
「つまり”弱体化”しようが、何しようが。どのような状態でも、本気で、勝つ気なら良いのだろう? 万全な状態で、全力で、とは言っていないからな」
俺に発言の揚げ足を取られて、勝手にしろと、仕方なく許可が出たので、クゥイちゃんを治すためにシン達と共に、寝室に向かう。
ーーーーーー
「【
後顧の憂いが無いように、【神技】を使って完璧にクゥイちゃんを治すことにした。
光が収まり、土気色だったクゥイちゃんの顔色が戻ったことに安堵し、戦いの場に戻ろうとする。
「待って、タイチ
トウコツの【呪い】を受けながらも、騒ぎが起きている庭まで移動したためなのだろう。
倦怠感の中での行動の疲労感、治った後の充足感で”願い”を告げた直後に夢の世界へと落ちて行った。
「クゥイは優しい娘なんだ。我ながら、過ぎた娘だと思う」
中性的な奥様、アイさんがクゥイちゃんの穏やかな寝顔を眺めながら言う。
「自分の為に、フェイ・ランとタイチ殿が戦うだけでも心苦しいのでしょう。……どうか、お二人とも死なないでください」
「フーー。仕方ありませんね。タイチさんが、
「相手は”特級”のフェイ・ランだからね。【神技】無しで≪殺さずに勝つ≫どころか、普通に勝つのも、タイチ様でも難しいだろうからね」
庭に戻る間に、
「理解できませんね! ジィェンさんの時と同じで、収支がマイナスなるのに! 適当に出来ないんですか!?」
俺を理解しきれないシンが非難の声を上げるが、クゥイちゃんの”願い”を叶えるために、
当然、フェイ・ランは大恩があるシュの娘の為に
ーーーーーー
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
ー
「フェイ・ラン、準備は良いか? 武器を使っても良いんだろう?」
「私は無手が基本です。タイチ殿こそ、
庭で待っていたフェイ・ランが、俺の胸に忍ばせているであろう”
「卑怯と言うなよ。可愛らしい、お嬢様からの”願い”だ。本気のオマエと≪殺さず≫に決着を付けてくれと頼まれたからな」
「タイチ殿は、万全なら自力で【神技】を使える方だ。それについては文句は有りません。クゥイお嬢様の”願い”を叶えようとする想いも嬉しく思います。……ですが」
礼の言葉を切ったフェイ・ランから、裂帛の気迫が放たれる。
「その”願い”を叶えるために手を抜くことは有り得ません! 私はクゥイお嬢様の命の為にも!! タイチ殿に
「いいね! いいね!! 滾ってきた!!! 自分で戦うのも楽しいが、戦いを見るのも、ウチは好きダ!!!」
フェイ・ランの決意と、トウコツの歓喜の咆哮が響く。
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