生きる意味

「アタシから、媒介ちゃんが出てった時は驚いたぽよ。あ~~”願い”が叶ったんだって。タイチぃに頼んで正解だったぽよ~~」


同じ世界同郷からの”迷い人ミィーレェン”という理由だけ。ここまでのことをして頂いて、なんて言えば良いんでしょうかぁ?」


 対局を終え、日を改めて昼過ぎにジィェンを身請けするために訪れた時に、リーも一緒に待っていた。


「最初は媒介ちゃん、ちょっとした依頼料の上乗せだけで頼もうと思ってたけど~。か~なり、無茶したみたいじゃん? これは特別に追加報酬を考えないといけないぽよ」


「馬鹿! バカ! 白虎パイフー様の媒介まで使っちゃって! タイチ様の大馬鹿!!! ただ働きどころか、丸損じゃん! 僕、言ったよね!? 『無茶はしないでね』って」


 圧倒的な点差を付けるために媒介を使った【神技シュンジー】を許せないガンちゃんは、いまだに不機嫌で、当たり散らしてくる。

 そんなガンちゃんを見て、特別に報酬の増額を申し出てくるリー。


「媒介に見合う報酬なんか無理だよ~!! 怒られる! めっちゃ怒られるよ! 僕、白虎様に、めっちゃ怒られるよ!!!」


「俺が勝手にやったことだし、ガンちゃんの言う通り、見合う報酬は高すぎる。希少性でも、価格的にもな」


「白虎様を満足させる報酬は無理でも。殿方タイチぃ報酬を出す自信は、あるぽよ」


 リーの持ちだしてきた増額に心当たりが付いた女性陣からの、鋭い視線が投げかけられる。




「遊郭1の妓女ジーニュチィウリーを無料で抱く報酬権利を付けちゃうぽよ」


「「「それは駄目」だお」です」ぅ」


 笑顔で責めるのが流行ってるのかな?



 ーーーーーー



 正式に身請けするのが決まったので、後回しになっていたジィェンの【在留】のために媒介を使おうとする。


「フフーン! 玄武シェァンウー様の適性を持たないタイチさん。手元に残しておくべき媒介は、”甲羅”ですね。精霊ボクの補助無しに玄武様の【仙術シィェンシュ】は使えません。補助無しで使える白虎様や青龍チンロン様の【仙術】や【神技】のために媒介を残す道理は有りませんね」


「……そうですね。悔しいですが、シンの言う通りです。今後のタイチさんの活動のためにも、使える手段は多い方が良いですしね」


「あ、ははは。怒られるよ~……。1個も白虎様の媒介が無くなるなんて、めっちゃ怒られるよ~……」


 媒介は、それぞれの対応した神の系統の【神技】を発動させる。

 適性の無い神の【神技】のために、適性の無かった玄武の媒介を残すべきだと、精霊ジンリン達の見解が一致していた。



「残すのは、に決まってるだろ?」



 さも当然のように”甲羅”に【在留】を発動させ、ジィェンの魂に収納する。



「な、なな、な、な、何してるんですかぁぁぁ!!??? ガンに同情でもしたんですか!!? 尊く、素晴らしく、便利な玄武様の【神技】を無駄にするなんて!!????」


「今回のように、自前で【神技】を使えないこともあるだろう。それに、適性が無いせいで加減も練習も出来ない【神技】よりも、使い慣れたが良いに決まっている」


 守りのための結界で守護対象を圧し潰したり、経済を破綻させる程の金塊を生み出したり、慣れないと危険なことが多いと考えた結果だ。


「デュフフ、タイチ様。ガンちゃん白虎様が良いなんて。めっちゃ、スコ! 推せる!! 墓まで見守っちゃうぞ!!!」


 俺の予想外の白虎推し発言に機嫌を良くしたガンちゃんが、だらしなく笑っている。




「そういう事でしたら。このボクがタイチさんの補助に憑いて、いかに玄武様の御力が素晴らしいものかを教えて差し上げます! フフーン! 良かったですね。偉い偉いボクが付いてきて!」


 この五月蝿い精霊シンが、しばらく憑きまとうのが決定したようだ。



 是枝これえだ太一たいち消滅まで、一年と十一ヶ月……。



 ーーーーーー

 ーーーーー

 ーーーー

 ーーー


 ーー


 ー











同じ世界同郷からの”迷い人”という___』


 この世界で最初に、お見かけした時は本当に気付きませんでしたぁ。

 で、お会いした時は年齢が召していましたし、お顔もけんが有って凶相でしたぁ。



『新しい恋か、人生を生きた方が良いと思います』


 と違って、だいぶ若返って、お顔も穏やかで気付きませんでしたけど、あの時と同じセリフで




 私が気付いたのなら、タイチさぁんも



 うふふ……



 をしたのに文字通り、命を削って助けてくれるんですねぇ……



 うふふふふ……



 おとぎ話の少女のようにを捧げた相手を、として添い遂げると固く信じてきましたぁ……



 うふふふふふふふ



 なんですねぇ。



 うふふふふふふふふふふふふふふふ



 再び、純潔を手にして、再び、運命因縁めいたタイチさぁんと出会いましたぁ。






 私の生きる意味運命の人は___




 ___なんですよねぇ、タイチさぁん。






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