ランニングスーパーハイプ

エリー.ファー

ランニングスーパーハイプ

 スヴェルデヴィニカのジャンクスィーパーハイプアクション。

 そういうのをしたいのだ。

 いや、他にもあるというのは聞いているし、そういうものだと思う。

 一つに絞ってしまうとそれ以外のものが見つかった時に移行が難しくなる。

 それは分かる。

 そういうものであるということは理解できる。

 けれど、それに対してこだわりの一つや二つを持つことが最も重要であって、それらを大切に扱うことが命とほぼ同義ということができるのだ。

 何度だって繰り返してしまって申し訳ないが、私が欲しいのは厚紙だ。

 そして、そこにソーダとクコの実、猫の肺を乾燥させた粉を混ぜたものだ。

 分かっているだろう。

 あれが欲しくてここまでどれだけの努力をしたと思う。どれだけのものを売り払ってここに来たと思う。

 失ったものばかりだ。

 けれど。

 本当に欲しいものはここにあったのだ。

 だから、渡してくれ。

 頼む、くれ。

 お願いだ。

 もう、きつい。

 自分を忘れそうになる。

 早く。

 早く。

 喉が。

 喉が枯れる。


 神になりたいわけじゃない。

 ただ、崇められたい。

 欲しいものを欲しいままに手に入れたい。

 だからすべてが欲しいから、サグノを持ってきてほしいのに。

 誰も持ってこない。

 何が健全だよ、そんなもんで楽しめるかよ。

 分かってるくせに。

 そういうものじゃなくて最初から丁寧に作られたものを自然と思いたいんだろ。

 そんなわけないだろ。

 バカかよ。

 マジのバカかよ。

 ねぇよ、この世の中にそんなものは。

 ないない。

 願ったり望んだりするのは分かるけど、それだけで決まっていくものじゃないから。

 だからサグノを持ってきて使わせてくれるならその後もたのしませてやるって言ってんだって。

 損はさせないから。そのために色々と準備もしてるし、巻き上げるだけ巻き上げたものがめっちゃここにはあるんだって、本当なんだよ。

 ほら、この中にも、あそこにも、あの裏にだってあるんだよ。

 だから言ったじゃん、それだけじゃ駄目だって。

 嘘ばっかりつき続けても何の意味もないってのは最初から分かってたんじゃないの。

 まぁ、そういうのはいいんだよ。

 だから早くよこせよ。


 家族の介護を任されてまともに過ごすこともできない。

 いつも同じことの繰り返しで闇の中をもがくようにして生きています。

 ため息をつくでしょう。

 気が滅入るからやめてとか言われるんです。

 は。

 ため息一つつけないような場所だから気が滅入るんです。

 逆ですよ、逆。

 指摘する側はいつだってそうやっているんです。難しい話ではないんです。どうせ理解できないんです。

 自分が幸福だから。

 頑張ったから不幸から遠のいたと思っている。

 本当は、最初から決まったレールを走っていた確約された努力でしかなかったのに。努力の本質も分かっていないくせに。

 だから、ね。

 いいじゃないですか。

 たまには、こうやって使っても。

 もう、炙ったりとかはきついですよ、正直持ちもないですし、こっちの方も危ういし。

 少しずつ、だけど余すことなく楽しめる。

 そういうのじゃないと、ほら時間ももったいないし。

 いいですよね、もう使っても。この取材だってどうにかしないといけないんだから盛り上がりの一つや二つは必要なんじゃないですか。

 じゃあ、点けますよ。いいですね、もうやりますからね。

 正直、これ好きじゃないんですよ。

 ただの習慣なだけで。

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