海遊館からすべての魚が逃げ出しても

僕はこの廊下を笑いながら歩く

だってここは大阪だから

思い出をいくつも混ぜ合わせて

水槽の中に大海原を想像する


あの日天王寺の影に紛れていた

君の携帯ストラップは

どんな引出しにしまわれたのか

すっかり綺麗に堕落させられた通りを

フィッシュマンズ聴きながら駆ける


天 地 せまくて

海 風 けがれて

命が圧縮されても

沸き起こる怪しさが

ある限りは 限りは


日本橋で横道に誘われ

知らないねじに見とれている

そうかここは大阪だから

思いは全て加工されて

ねじくれた歴史に塗り込まれていく



(「無責任」第十五号より)

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