第4話 間取りやいかに

怖さ半分怒り半分のハイな気分のままに メサイアに言いたい放題言ってしまった。


どっちみち 自分の命運が人様に完全に握られた状態なら 媚びても威張ってもかわりあるまいという開き直りと言うかやけくそで。


それくらいショックだったのだ。裸を見られたのが。

物心ついてから 親にすら裸をみられたことはない。


今では医者ですら服の上から聴診器を当てる時代。

しかも 予防接種時以外 医者の前に座ったことのない私には 赤ん坊の頃はいざ知らず、幼稚園に入ったころには すべて身の回りのことは自分でしていたから 人前で服を脱いだことなどない!

 学校のプールの時間は 狭い更衣室でひしめき合っているから あれは級友の肌等見ている閑もないはず。(実際私 見てないし)


だからこそ 素っ裸の私の体に触れた男の存在など許せぬ!

 生皮はいで 逆さにつるして死ぬまで放置するくらいの処刑をせねば気が済まぬ!


などと 煮えくり返る思いと そんな非常識な世界に来てしまったショックで不信感に凝り固まってしまったのだ。

 メサイアが辛抱強く扉の外から話しかけてこなければ あのまま自害するか 祭祀の間とやらに立てこもって餓死する道を選んでいましたね。



と思い悩んでいたら疲れるだけなので とりあえず、衣装棚の中身を点検した。

 下着 ありました。 厚手のタイツのようなものもありました。

 上に羽織るのが ロープばかりと言うのは 困りましたね

  色も 白と黒のみ

  フード付きというのは 外出着兼用なのでしょうか?


 コート類もなし。手袋もなし。

 温暖な気候だから必要ないと言うことならばよいのだけど・・

 まさか コートは 手元にある毛皮のコート1択なんてことないですよね?


 毛皮のコートは重いのでハンガーにつるした。

 洋服ダンスの中を見たら服ブラシがあったので使用した。

  汗が抜けたら 箪笥の中につるし直そう。


 部屋に内鍵をかけ 鎖もかけてから 洗面浴室を覗いた。

 バストイレが分離され 洗面室が広々として三面鏡が整っているのは好感が持てる。

 廊下に続く扉の突き当りが 応接室兼書斎のようになっており、そこにある机の横に大きな姿見用の鏡があることと言い、なかなか気が利いた部屋だと思う。

 自分の服装や姿勢を正すこともできれば 机に向かっている時も背後から接近する者を確かめることができるから。


洗面室をはさんで 応接室と寝室がつながっていた。

 どちらの部屋からも水場が近いというのは便利だね。


塔の中の部屋なので、寝室と応接室はウォークインクローゼット(=洋服ダンス 生理ダンス&コートハンガーのある部屋)ともつながっている。

 つまり 階段と踊り場が塔の真ん中。

 その周りをくるっと一周するように私の部屋が取り巻いている。

 私のプライベートゾーンと階段(踊り場)とをつなぐ扉が1枚だけなのは、閉じ困りやすく 閉じ込められやすい造りだ。

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