第3話 塔の中のお姫様

メサイアに案内されて部屋に移動する途中 本当に誰にも会わなかった。


ジグザグと廊下を移動し階段を上って案内された部屋は塔の中にあった。

これではまるで 囚人みたいではないか!


窓の下は堀 しかも部屋は3階。


窓から外を眺めていたら、メサイアが説明を始めた。


「ここヒロポン王国では 庶民は神子様のお力を信じ その到来を心待ちにしておるのですが、貴族の方々は懐疑的、王族は 万が一招聘に失敗しては威信にかかわると及び腰だったのです。」

「それゆえ 教会が中心となって招聘の儀を行うことも内密とされ、立ち合いも国王陛下のみ。実のところ大司教である私も招聘の儀を行うことは 開始寸前まで知らされず 祭祀の間にはいることが許されてはおらなかったのです。」

「その結果 せっかく御光臨下さいました神子様をお迎えするのが 未熟な二人のみとなり 大層不愉快な思いをさせましたこと お詫び申し上げます」


「あの国王ともあろう者が 女性に対する基本的なわきまえすら身に着けておらぬとは このような国が亡びるのも必然の結果なのではありませんか?」


「申し訳ございませぬ」


「私は いつまでここに幽閉されるのですか?」


「幽閉など とんでもない。 ただ神子様の身の安全のために」


「私の存在を不都合と考え暗殺を謀る者がいるのですか?」


「神子様が御光臨なされた今では 神子様を我が物として利用する者が多数いると思われます。ですからこそ 当面は こちらでお過ごしいただきたく」


「祭祀の間では、私に魔物退治をさせようとしているかのごときお話でしたが・・」


「民衆は 神子様が先頭にたって 魔王討伐を成し遂げられることを請い願っております」


「あなたは 私に何を期待しているのですか?」


「私の役目は 神子様に何かを願うことではなく 神子様にお仕えすることです」


「それでは ちゃんとした食事と動きやすい服 安眠できる寝室に 清潔な風呂を希望します。 靴も外を歩くことのできる私の足にあったものを。」


「その為にも侍女を一人つけることをお許しください」


「護衛も野営もしっかりとでき、礼儀作法に精通した侍女ならば許可します」


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