M.B.L. Man`s Boy`s complex Love

Sasayaki Fuhn

守野 眞緒 の 場合 00

 私は本当は女なんだ、前世も女だっただろうし何かの間違いでこんな身体に生まれてきてしまったんだ。




 どうか神様お願いです、明日までに本来の性別に戻してください。あなたが間違えてしまった性別を元に戻してください。




 明日の朝には胸が膨らんでいて本来の姿になっているんだ。




 どうして男の身体のままなの…私本当は女の子なのに、いつになったら神様は私を女 の子にしてくれるの?




 制服なんてホント大っ嫌い、小学生の頃みたいに私服ならスカートは穿けないにしても好きな服を着れたのに、私もスカートを穿きたい。元の性別に戻って早く堂々と女の子の格好して女の子の喋り方をしたい。




 胸が膨らんできた、ありがとうございます神様。親に病院に連れて行かれて思春期特有のホルモン異常だって言われたけど、やっと元の性別に戻れるんですね。一月程で胸の膨らみは無くなるなんて医者は言っていたけどそんな事ありませんよね。




 せっかくこのまま女の子になれると思ったのに…私このままどんどん男の身体になっちゃうのかな?


 せめてブレザーの高校に行きたい、学ランなんて絶対に着たくない。




 顔にちょろちょろヒゲが生えてきた。こんなのないよ私、女の子なのに。もう死にたい、このまま男になっていくくらいなら男に成長する前に死のう。




 女性ホルモンを増やせば良いってどうやって…女性ホルモンの錠剤が買えるの!? でも……買えない値段じゃない、バイトすれば毎月の薬代くらいなら。


 そうか、今からバイトしてしばらくは女性ホルモンの錠剤で女の子になろう。そしてバイト代を貯めて将来すぐに手術をできるようにしておけばいいんだ。




 女性ホルモンはやっぱりすごい、やっと本来の姿に戻ってきた気がする。でもまだだ、完全に女の子にならなきゃ本来の姿じゃないんだ。




 大学には一人暮らしをして通いたい、一人暮らしなら家族にもバレず気兼ねなく素の自分で生活ができる。




 一人暮らしをしたらカワイイ家具を買おう、お化粧もしてスカートを穿いてカワイイバックを持って出かけよう。お父さんお母さんや今までの友達の前ではずっと男の演技をしてきたけど、やっと演技をする事からも解放されるんだ。






 大学の入学が決まりすぐに立地、家賃、間取りの良いアパートを決めた。アパートへの入居日は一ヶ月程先だったが大家さんは「荷物の運び入れもあるだろうし、もう好きに使ってくれて構わないよ」と鍵を渡してくれてた。


 私は両親に「アパートに暫く泊まり込んで家電や家具は自分一人で買い揃えるから来なくていいよ」と寝袋と数着の着替えを持って、これから数年間住むであろう空っぽのアパートで生活しながら家電量販店や家具店を回り、ネット通販も駆使しながら少しずつ本来の自分好みの部屋にしていった。


 初めてスカートを穿いて外出したのは大学の入学式の時。


 今まで実家の自室では、お化粧をしたりスカートを穿いたりはしていたけれど、その格好で外に出る勇気がなかった。それ以前に自室でお化粧しスカートを穿いている時に親が入ってこないかいつもドキドキしていたくらい。


 だから本当の自分に逢えるのは小さな自分の部屋の中だけ。


 だけど大学からは、私は本当の私でいるって決めた。だから入学式にはレディーススーツのパンツスーツじゃなくスカートスーツを着て行った。


 その時、思ったことは「スカートを穿いて外に出るとスースーする」だった、それと同時にスースーと風の通りを感じるたびに程よい緊張感と「ああ、私はやっと女の子になれたんだ」と自分自身に女の子を感じ、私の中でスカートが神聖な服装に位置づけられた瞬間だった。


 スカートは女の子の特権だもんね。


 その考えと気持ちは今も変わらない。




 そして女の子は恋をするものなのです。

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